米WolfSpeedが、ドイツ南西部のザールラント州に20億ユーロ以上投じて自動車向けSiCデバイス量産工場を建設する模様だとドイツの有力紙Handelsblattが1月21日付で報じた。
同州Ensdorfにある石炭火力発電所の跡地に建設し4年以内に稼働を始める計画だが、まだドイツ政府の補助金支給が決まっておらず、その決定を待って建設を始める模様である。
Wolfspeedによると、欧州自動車および部品メーカーは、自社工場の近くにSiCデバイス製造工場の進出を望んでおり、欧州内の10か所を工場建設候補地として検討していたという。報じられている土地を選んだのは、近隣の最大企業で自動車部品メーカーであるZFが協業パートナーとなり、共同で出資するほか、人材も派遣するためだという。WolfspeedとZFによる出資は、ZFの競合であるBoschに対する挑戦だという声もあるという。
TSMCやIntelもドイツに車載半導体工場の建設を計画
TSMCは1月12日に開催した2022年第4四半期の決算説明会にて、同社の魏哲家(C.C.Wei)CEOが、日本の二番目となる工場とともにドイツでも新たに車載半導体向けファウンドリの建設を検討していることを明らかにしている。ドイツの半導体業界関係者によると、建設場所は、自動車産業が盛んなドレスデンと見られるという。
またIntelも2022年に、ザクセン・アンハルト州マクデブルクに車載半導体ファウンドリを建設する計画を披露しているが、建設費の高騰や半導体需要の減退を受け、補助金の増額を地元政府側に求めるなどの動きを見せており、着工が遅れている模様である。
ドイツは有力自動車メーカーが多くあり、欧州の自動車業界をけん引している。しかも、その多くが電動化に積極的に動いており、将来的には、ドイツが欧州の先端半導体製造の中心地になる可能性がある。