帝人と富士通は19日、自転車フレームに使われるリサイクル炭素繊維の証跡データをブロックチェーンを用いて可視化する「資源循環における環境価値化実証プロジェクト」をドイツの自転車メーカーやフレーム製造を行う企業と開始したことを発表した。
材料資源から流通、廃棄まで製品の全過程の環境負荷を評価するニーズが高まる中で帝人と富士通が昨年7月より構築を進める「リサイクル素材の環境価値化プラットフォーム」(2022年7月のニュースリリース)は、富士通のブロックチェーン利活用サービス「Fujitsu Track and Trust」が実装されており、資源や負荷の証跡データを収集管理できるものだ。
1月から3月にかけて予定される実証プロジェクトは、世界的に市場規模が向上している自転車のフレームをターゲットにしている。欧州の自転車産業では、アジアで製造されたフレームを使用しアジアで埋め立てるケースも多く、資源のリサイクルのほか長距離輸送にかかるエネルギーも課題となっていたという。
今回、プロジェクトに参加するドイツのV Frames GmbHは、炭素繊維強化プラスチックを使った自転車フレームの製造・販売を行う企業で、リサイクルにより温室効果ガスの排出量削減に取り組んでおり、自転車メーカーであるE Bike Advanced Technologies GmbHと共にプロジェクトに加わり、工程における環境負荷情報のプラットフォームへのアップロード、データ収集プロセスや可視化されたデータのレビューを行う。所在や状態、環境負荷など自転車フレームのリサイクルから販売までの全工程の資源に関する情報が反映され、炭素繊維やアラミド繊維など素材のライフサイクルアセスメントに取り組む帝人が、各工程の環境評価を支援する。