太陽化学と摂南大学の両者は1月17日、健常成人の腸内環境およびメンタルヘルスに対する、グアー豆から作られた水溶性食物繊維「グアーガム分解物」(PHGG)の有効性について検証したところ、同分解物の1日3gの摂取が腸内細菌叢に好影響を与えることを解明し、併せて同分解物が睡眠の質を改善すること、仕事や勉強に対するやる気の維持にも関与することを発見したと発表した。
同成果は、太陽化学、摂南大 農学部応用生物科学科の井上亮教授、栄養・病理学研究所、京都府立医科大学 寄附講座「生体免疫栄養学(太陽化学)講座」の内藤裕二教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、日本酸化ストレス学会の刊行する医学関連の欧文学術誌「Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition」に掲載された。
生物の進化の歴史をたどると、腸は脳よりも先に誕生しており、神経が張り巡らされていることから「第2の脳」と例えられる。かつて体内の臓器は、脳を司令塔とするトップダウン型の支配構造的なものとして考えられていたが、近年の研究では、臓器と脳は情報をやり取りして相互に影響を与えることがわかってきている。
中でも脳と腸の関係は深く、腸内環境が身体の健康だけでなく、心の健康の維持にも重要な役割を果たすことが明らかになりつつある。この脳と腸の関係は「脳腸相関」と呼ばれて注目されており、過労やストレスからメンタルヘルスを損なう人が増えている現代社会では、心の健康を維持するため、脳腸相関の改善をターゲットとする食品も登場している。
PHGGとは、インドやパキスタンなどでよく食べられるグアー豆から作られた水溶性食物繊維だ。この食物繊維については、これまでもさまざまな研究において優れた腸内環境改善作用が示されているが、メンタルヘルスへの有効性については十分に検証されていなかったという。そこで研究チームは今回、PHGGによる腸内環境の改善を介したメンタルヘルスへの有効性について調査を行うことにしたとする。またそれと同時に、1日あたり3gという、これまでの臨床試験と比較すると少ない摂取量でも、腸内細菌叢に影響を与えるのかという点も検証したとする。