米Google Cloudは1月13日(現地時間)、小売業者向けに新たに4つの最新AIテクノロジーを発表した。

棚卸AI

まずは、AIを搭載した棚卸ソリューションとなり、小売業者が店頭の商品在庫を改善・可視化し、補充が必要な商品を把握することを支援するという。

Google CloudのVertex AI Visionをベースに、商品認識とタグ認識の2つのML(機械学習)モデルを搭載した棚卸AIにより、小売業者は商品の視覚的特徴とテキストの特徴のみを用いて、あらゆる種類の商品を識別し、そのデータを実用的なインサイトに変換するという難しい課題を解決することを可能としている。

小売業者がデータ収集や独自のAIモデルのトレーニングに時間、労力、投資を費やす必要はなく、同ソリューションはGoogleが保有する数十億のデータベースを活用し、異なる角度や視点から撮影されたさまざまな画像で商品を特定するという困難なタスクを実行できるという。

小売業者は、棚卸 AIに提供する画像の種類を柔軟に選択することができ、例えば天井に設置されたカメラ、店員の携帯電話、店内を巡回する棚卸ロボットなどの画像を利用することが可能。

現在、グローバルでプレビュー版を提供中だが、今後数カ月以内に小売業者向けに一般提供の開始を予定している。なお、小売業者の画像とデータは小売業者のものであり、AIは商品と値札の識別にのみ使用される。

小売業者向けDiscovery AIソリューションの新たなAI機能

また、オンラインでの閲覧と商品発見の体験を向上させるため、小売業者向けDiscovery AIソリューションの新たなAI機能を発表。同機能は、消費者がカテゴリを選択すると、MLを利用して小売業者のEC サイトで最適な商品の並び順を選択するというもの。

AIが時間の経過とともに、過去のデータからEC サイトの各ページの理想的な商品の並び順を学習し、正確性、関連性、販売見込みを考慮して、どのように、どの商品を表示するかを人手を介することなく、最適化する。72の言語に対応した同機能は、すでに小売業者向けに一般提供している。

AI駆動型パーソナライゼーション機能

さらに、小売業者のウェブサイトを検索、閲覧する際に顧客が得る結果をカスタマイズする、新しいAI駆動型パーソナライゼーション機能を発表。同機能は、Google Cloudの新たな閲覧サービスと既存のRetail Searchソリューションの機能を強化するものだという。

同機能は、ECサイトでの顧客のクリック、カート、購入などの行動から、消費者の趣味、嗜好を判断する商品パターン認識機能を備え、嗜好に合った商品を検索や閲覧のランキングで上位に移動させ、パーソナライズされた結果を提供する。

消費者のパーソナライズされた検索結果や閲覧結果は、特定の小売業者のECサイトにおける利用者の行動のみにもとづいており、Google アカウントの利用状況とは連携しておらず、小売業者のサイトで作成したアカウント、またはウェブサイト上のファーストパーティークッキーで識別される。

Google Cloud の他のソリューションと同様、小売業者は顧客の嗜好に関する情報を得ますが、顧客がデータを所有し、管理することができる。同機能は現在、全世界の小売業者向けに一般提供している。

Recommendations AIをアップグレード

そのほか、Recommendations AIがアップグレードされ、小売業者のECプロパティをパーソナライズされたダイナミックかつ、個々の顧客に役立つものにすることができるという。

例えば、新たなページレベルでの最適化機能では、ECサイトでどの商品レコメンデーションパネルを各消費者に表示するかを動的に決定できるようになったほか、ページレベルでの最適化で多くのリソースを必要とするユーザーエクスペリエンステストを最小限に抑え、ユーザーエンゲージメントとコンバージョンレートを向上させることを可能としている。

また、新たに追加した収益最適化機能はMLを使用し、あらゆるECサイトのユーザーセッションあたりの収益を拡大することができ、より良い商品レコメンド機能を提供する。

DeepMindと共同で構築したMLモデルは、ECサイトの商品カテゴリ、商品価格、顧客のクリックとコンバージョンを組み合わせ、消費者の長期的な満足度と小売業者の収益増加の適切なバランスを見極めることが可能。加えて、新しい Buy-it-Againモデルは、消費者の買い物履歴を活用し、リピート購入の見込みに関するパーソナライズされたレコメンデーションを提供する。

Google Cloudのユーザーが使用する基本的なレコメンデーションのシステムと比較して、Recommendations AIは、小売業者による検証においてコンバージョン率とクリック率を2 桁上昇させているという。新しいページレベルでの最適化機能、収益最適化機能、Buy-it-Again モデルは、現在グローバルで小売業者に提供している。