TSMCは1月12日、2022年第4四半期(10~12月期)の決算説明会を開催し、連結売上高が前年同期比42.8%増、前四半期比2.0%増の6255億3000万NTドル、純利益が前年同期比78.0%増、前四半期比5.4%増の2959億NTドルとなったことを明らかにした。米ドル基準に直すと、売上高は前年同期比26.7%増、前四半期比1.5%減の199億3000万ドルとなった。

先端プロセスの売り上げが54%を占める

同4四半期売上高における、先端プロセスの割合は5nmが32%、7nmが22%で、先端プロセスが全売上高の54%を占める規模となっている。

  • TSMCの2022年第4四半期のプロセス別売上高内訳と先端プロセスの売上高の割合推移

    TSMCの2022年第4四半期のプロセス別売上高内訳と先端プロセスの売上高の割合推移 (出所:TSMC、以下すべて)

また、プラットフォーム(応用分野)別売上高内訳を見ると、HPC向けが全体の42%、スマートフォン(スマホ)向けが38%を占めた。成長が期待される車載向けは6%となったが、世界的なインフレで需要が減退している消費者向けは2%ほどと低く、影響は軽微にとどまっている。国・地域別で売上高内訳を見ると、北米が69%、中国が12%、アジア(日本と中国は除く)が7%、日本が6%、その他が6%となっている。

  • TSMCの2022年第4四半期のプラットフォーム(応用分野)別売上高内訳

    TSMCの2022年第4四半期のプラットフォーム(応用分野)別売上高内訳(左)とそれぞれのプラットフォームの前期比成長率

  • TSMCの2022第4四半期売上高の国・地域別内訳

    TSMCの2022第4四半期売上高の国・地域別内訳

TSMCのVP兼CFOであるWendell Huang氏は、2022年の業績について、「2022年、力強い成長を実現した背景には、テクノロジーリーダーとして5GやHPCという業界のメガトレンドを捉えることができたためであり、そうした取り組みの結果、通年売上高はドル換算で前年比33.5%増の760億ドル、NTドル換算でも同42.6%増の2兆2600億NTドルとなった。また、5nmが通年売上高の26%を占めたほか、7nmも27%と、先端プロセス全体の売上高に占める比率は前年の50%から53%へと向上。それに合わせて売上総利益率も8ポイント増となる59.6%になった。これは主に、為替差益、積極的な販売活動、およびコスト改善を反映したものであるが、稼働率の低下によって一部相殺された結果である」と説明したという。

2023年第1四半期の売上高は前四半期比14%減の予想

なお、同社では2023年第1四半期の業績見通しについて、売上高は前四半期比で約17%減となる167億ドルから175億ドルの間と予想しており、およそ14%ほどのマイナス成長となるとしている。また、為替レートを1ドル=30.7NTドルと仮定した場合、粗利益率について53.5%~55.5%の間、営業利益率を41.5%~43.5%と見込んでいるほか、2023年の年間設備投資額について320億ドル~360億ドルと予想している。

Huang氏は、「2023年第1四半期に入り、全体的なマクロ経済状況が依然として弱いため、エンドマーケットの需要の軟化が続き、顧客の在庫調整がさらに進むと、当社のビジネスはさらに影響を受けると予想している」と、市場の軟化が長引けば、さらに影響を受ける可能性を示唆。「短期的な不確実性を考慮して、引き続き慎重に事業を管理し、必要に応じて設備投資を引き締めることを念頭に、長期的な市場の需要プロファイルに基づいた、規律ある設備投資と生産能力増強を引き続き行っていく」と投資計画の考え方を説明している。