宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、過去に同機構が実施した医学系研究において研究不正が発見されたことを受け、調査結果に基づき、関係するJAXA職員として山川宏理事長ら3名に処分を行ったことを発表。1月12日には、その詳細に関する記者説明会を開いた。
今回研究不正が発見されたのは、JAXAが2016年~2017年にかけて実施した「長期閉鎖環境(宇宙居住環境模擬)におけるストレス蓄積評価に関する研究」で、宇宙飛行士の古川聡氏が研究実施責任者を務めた。2022年11月25日には、同研究におけるデータの捏造や改ざんが発覚したことから、厚生労働省が定める「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に対する不適合があったとして、同省などへの報告、および記者説明会を行っている。なお、今回の不適合を受け、JAXAは古川氏に対し戒告の処分を行ったのに加え、山川宏理事長・鈴木和弘副理事長に厳重注意、佐々木理事に訓告の処分を行っている。
今回の会見では、同研究で発生した検体取り違え事案に関して、古川氏から経緯の説明が行われた。またJAXAの佐々木宏理事からは、2022年11月の記者説明会後に調査が開始された、課された行動制限を逸脱した研究対象者がいる可能性について、その調査内容の報告が行われた。
古川氏は、研究成果を得るためにデータの捏造などを指示したことはないとする。加えて、再発防止のための対策として「責任者として確認を徹底していく」と話した。また、2023年度内に予定される宇宙飛行士として国際宇宙ステーションへのフライト任務などは予定通り行う見通しだといい、「1つ1つ任務を誠実に遂行することで信頼を回復していきたい」と語った。
併せて佐々木氏は、「JAXAとしては研究に不備が起こらないような仕組みづくりを徹底していたが、研究員全体への共有・浸透がなされていなかった」とし、限られた人員などの研究体制について「同様の事案が再発しないよう研究体制を充実させる」と話した。