米Inforの日本法人であるインフォアジャパンは1月10日、「2023年のサプライチェーンに関する予測」を発表した。

  • インフォアジャパン、「2023年のサプライチェーンに関する予測」を発表

    インフォアジャパン、「2023年のサプライチェーンに関する予測」を発表

この予測は、インフォアジャパンのソリューションコンサルティング本部 本部長・佐藤幸樹氏によるもの。それによると、サプライチェーンは不確実性と変動性の高い状況が続くという。地政学的、環境的、マクロ経済学的な圧力が作用し、需要と供給のいずれも、2023年の間に安定的かつ持続可能な水準に達することはないとする。企業は在庫を抱える一方で、モノ不足にも対応していかなければならならず、正確な需要計画を立てて、人工知能や機械学習などのツールを導入することで、そうした問題を対処する負担を軽減できるとしている。

また、ロシアによるウクライナ侵攻によるエネルギーと食料の供給は、特にヨーロッパ、中東、アフリカで厳しい状況が続くという。需要、供給、物流における予測不可能な事態が頻発することで、世界中に連鎖的な影響をもたらし、インフレや食糧難、経済的困難が今後も生じるとしている。

リモートで行うことが不可能な仕事を担うエッセンシャルワーカーの人手が不足すると、基本的な商業活動の停止や人々の健康と安全が脅かされる恐れがあるという。過去2年間の極端な労働者不足を受け、多くの物流セクターで賃金が上昇したのと引き換えに生活費が急激に高騰している。経済格差は、世界中で根本的な政治的変化の要因になると同時に、主要なサプライチェーン事業体における雇用のダイナミクスのリセットを目指した労働者の力の行使を促すという。

数年前から、中国以外の国にサプライヤーネットワークを体系的に多様化する取り組みが行われている。習近平氏があと5年間権力の座にとどまると、台湾侵攻の可能性、海軍や海運における攻撃的行動、中国にとって戦略的鉱物資源を持つ第三世界諸国への投資の増加によるサプライチェーンのリスクを積極的に対処していかなければならないという。サプライチェーンの転換で恩恵を受けるアジア諸国の港、内陸輸送ルート、水路には、中国の力に見合う輸送・物流インフラやサービスプロバイダーがまだなく、中国の支配下や影響下にある地域を通過する貿易ルートは、経済大国が引き起こす予期せぬ事態に直面する可能性が残っていると指摘した。

昨年は、リアルタイム輸送可視化の大手プロバイダーにおける人員削減が発表され、サプライチェーンテクノロジーセクターでのVC活動も劇的に軟化した。リアルタイム可視化市場が世界的な景気後退とサプライチェーンの成熟度の高まりという現実に直面するにつれ、サプライチェーンの業務の可視化に、より幅広く、包括的で、統合されたアプローチを提供するサプライチェーンのビジネスネットワークやアプリケーションプラットフォームが改めて重視されるという。可視化に関する購買決定には、より多くの関係者や受益者が関わるようになり、運送部門だけでなく、調達、財務、S&OP、在庫管理、さらにはES&Gのリーダーが、急速に進化するビジネスのニーズに対応するための拡張性、柔軟性、そしてサプライチェーンエコシステムを確保するために技術プロジェクトに参加するようになるとしている。