リンクスとNTTタウンページは12月15日、SMSマルチサービスプラットフォーム「SMAPS(スマップス)」の提供を中心に、消費者に向けて企業や自治体で行われている書類送付業務のDXを行うことを目的としたパートナーシップ協定を締結したと発表した。

「SMAPS」は法人向けSMS配信サービスで、携帯電話網を使用するショートメッセージサービス(SMS)を活用し、通知・認証・決済までをワンストップで提供するサービス

SMAPSでは、SMS配信に本人認証を付加して本人に通知する機能、リンク先ページで10830文字まで記載可能な機能、キャンペーン等期間を限定した情報開示に対応する期限付きURL機能、アンケート機能、決済連携で明細通知から支払いまでをワンストップで提供する機能、トラッキング機能(送付や開封状況)などを付加している。

  • 「SMAPS」とは

    「SMAPS」とは

パートナーシップを機に、両者は、現在は紙で行われている書類送付の業務をSMAPSに置き換えることによるペーパーレス社会の実現をめざす。

NTTタウンページ 取締役 ソリューション営業部長 井上登晃氏は、SMSを利用するメリットとして、アプリのダウンロードが不要で携帯番号さえあれば送付できる点、デバイスやキャリアを問わず送信できる点、スマホの画面からリンク先に移動できるため、Eメールと比べて開封率が高い点などを挙げた。

  • NTTタウンページ 取締役 ソリューション営業部長 井上登晃氏

    NTTタウンページ 取締役 ソリューション営業部長 井上登晃氏

両者のパートナーシップにおける取り組みの第一弾として、今回、「債権譲渡通知等送信サービス」を「SMAPS」の新たな機能として、2022年12月15日よりリンクスから提供開始し、NTTタウンページにおいて取り扱う。

リンクスは令和4年4月27日、経済産業省および法務省から国内で初めて「債権譲渡の通知等に関する特例に関わる新事業」として認定を受けた。そして、今回、それを正式なサービスとして提供する。

債権譲渡通知は、債権譲渡に関して債務者への通知を行うもので、年間84万件程度あるといい、多くが第三者対抗要件が認められる内容証明郵便で行われている。「債権譲渡通知等送信サービス」では、これをSMAPS通知に置き換えていこうというものだ。セキュリティを施したサーバ上で通知記録(通知内容、SMS の送信・到達日時、債務者のURLアクセス日時のログ等)を5年間PDF保存し、債務者が任意で閲覧できるようにする。また、今後、未払い債権の督促状や受任通知もSMAPSに置き換えることで、債権回収業務全体のDXを推進するという。

  • 「債権譲渡通知等送信サービス」概要

    「債権譲渡通知等送信サービス」概要

今後は新たなソリューションも提供

両者は、今回の「債権譲渡通知等送信サービス」を皮切りに、他の書類送付業務もSMAPSに置き換えていくことを可能とするための新たなソリューション提供も計画している。

井上氏は、置き換えを想定する4つの業務を挙げた。

1つ目は、コンビニ決済の払込票送付業務で、年間10億通あるという。これを発番・バーコード方式に変えスマートフォンだけでコンビニ支払いが行えるようにしていく。

  • コンビニ決済の払込票送付業務での活用

    コンビニ決済の払込票送付業務での活用

2つ目は水道やガスのスマートメーター化に伴う、検針通知、請求、支払いをSMAPSで行えるようにするもの。すでに静岡県 湖西市等による共同実証実験に利用されており、地方のLPガス会社との具体的な話し合いも進行しているという。

  • スマートメーター化に伴う請求、支払いでの活用

    スマートメーター化に伴う請求、支払いでの活用

3つ目はマイナンバーカード等の本人認証業務における書類送付業務で、デジタル身分証サービスと連携しWEBに誘導し、オンラインで手続きができるようにしていくという。

  • マイナンバーカード等における本人認証書類の送付業務での活用

    マイナンバーカード等における本人認証書類の送付業務での活用

4つ目は特商法改正による契約書面の電子化やクーリング・オフの手続き。重要事項説明やそれに伴う承認、契約書の送付、期限付きのクーリング・オフの手続き表示をSMAPSで実現するという。通販事業者を中心に提案するという。

  • 特商法改正による契約書面の電子化やクーリング・オフの手続きでの活用

    特商法改正による契約書面の電子化やクーリング・オフの手続きでの活用

両者は新たなソリューション提供にあたり、来年3月を目途に「SMAPS」をNTT タウンページのオリジナルブランドで提供する予定で、機能追加やビジネスパートナーとの連携を通じたソリューションの検討・開発を進めていく。

そのためのバックボーンとなるのが今回のパートナーシップ協定で、SMAPSの高度化についてはリンクスが中心に、パートナー企業との連携等は、NTT タウンページが中心に行い、互いに連携しながら進めていくという。

井上氏は、「国内における書類の送付件数は、年間149億通といわれている。その多くは企業や自治体から消費者への送付物と想定され、膨大な紙の消費を生み、配送により多くのCO2を排出する。書類の送付業務をSMAPSで実施することにより、さまざまな課題解決を行い、ペーパーレスを推進し、サステナブルな社会の実現を目指していく。リンクスが持つ高い開発力とNTTタウンページの全国をカバーする販売網、NTTグループ企業、パートナー企業との連携により、事業を拡大していきたい」と述べた。