米国商務省傘下の国立標準技術研究所(NIST)は、フォトニクス製造の強化、計算や通信のパフォーマンス向上を目的に米国国防総省(DoD)の後援で設立された米国の公共-民間コンソーシアム「AIM Photonics(American Institute for Manufacturing Integrated Photonics)」と共同研究開発契約を締結したことを発表した。
今回の提携により、半導体チップ開発者は、光ファイバーネットワークやHPC施設の主要コンポーネントとして、より高速なフォトニック集積回路を設計するための重要な新しいツールを得ることができるようになるという。
AIM Photonicsは、ニューヨーク州立大学工科大学(SUNY Polytechnic Institute)が主導しており、その目的は、フォトニックチップ製造に向けた新技術の商業化を加速することにある。設計から製造、パッケージングまで、フォトニクスチップ開発サイクルのすべての段階で、半導体企業、学術研究者、政府研究者に専門知識と製造施設へのアクセスを提供している。
今回のコラボレーションの一環として、NISTは、チップの電気的性能の測定とテストに使用できる電気的キャリブレーション機能を設計する。これにより、最大110GHzで動作するフォトニックチップの設計が可能になるという(ちなみに既存のほとんどのフォトニックチップは、約25GHzで動作している)。
「この取り組みは、チップ測定、キャリブレーション、および統合デバイスモデリングにおけるNISTの専門知識を活用するものである」と、標準技術担当商務次官でNISTディレクターのLaurie E. Locascio氏は述べている。また、この取り組みの計画はCHIPS法が可決される前に開始されたが、同法の目標と一致しており、「これは、米国政府と産業界がどのように協力してイノべーションを推進し、半導体製造における米国の世界的リーダーシップを回復できるかを示している」とも述べている。
また、AIM Photonicsの最高執行責任者(COO)であるDavid Harame氏は、「これらの機能強化により、メンバーと顧客は、次世代の高度なフォトニックチップを設計するために必要なツールを利用できるようになる」と述べている。
なお、両組織の専門家たちは、新たな測定システムをAIM Photonicsのファウンドリプロセスに統合する作業をすでに進めており、キャリブレーション機能を含む更新されたPDKが約1年以内にユーザーに提供される予定だという。