2023年の年頭にあたり、リコー 代表取締役 社長執行役員 山下良則氏は年頭所感として、以下を発表した。

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

2020 年に新型コロナウイルスが世界を一変させてから、3 年が経ちました。様々な常識が覆され、それが新たな常識となり、ニューノーマルという言葉ももはやあまり聞かれなくなるほどに、ウィズ・コロナの世界が日常になりました。まさに、非常識が常識になり、日常化したわけです。 そして当然、お客様や私たち自身の“はたらく”もまた、大きな変化に直面しています

リコーは 100 周年となる 2036 年に向けて「“はたらく”に歓びを」というビジョンを掲げています。このビジョンの検討にあたって、まず、2036 年に向けて“はたらく”の未来はどうなっていくのか。そんな議論から始めたことを思い出します。

導き出した結論は、「境目のない世界」、そして「個が強くなる世界」でした。仕事とプライベートの境目は、時間・空間ともに限りなく薄くなっていく。それは会社や組織の境目も同じで、結果として個人のアウトプットがより浮き彫りになり、問われる。単純作業がテクノロジーに置き換わる中で、はたらく人の価値は、人ならではの創造力に置き換わっていく。

そんな世界を予測したのは、コロナが起こる前のことです。そして今、コロナによって私たちの予測が急速に現実のものになりつつあります。そう考えると、コロナがもたらした変化は、これまで予想もしなかったものではなく、ある程度予想していた未来を、しかし予想をはるかに超えるスピードで実現している・・・と言えそうです。

昨年までの私なら 2023 年もまた、不確実であることが確実、と申し上げていたと思います。今、振り返ると、世の中は【不確実】ではなく、未来を予想できるものの 実現のスピードが速すぎるために、【不確実である】と言い訳していたような気がしています。 ただ、今年は違います。私たちは先を読み切り、もっともっと速いスピードで変革を起こさねばならないと考えています。

そのために、私たちは組織の意思決定をじっと待つのではなく、自らの責任で判断し行動していく必要があります。企業における昨今の、人的資本の重要性の高まりも、そんな大きな流れの中で必然的に起こっていると言えるでしょう。リコーグループの社員として求められる人材像を、自律型人材であるとしている理由もそこにあります。社員一人ひとりが自律的に働き、変革に挑戦することで、はたらく歓びを感じ、私たちが生み出した価値で、お客様のはたらく歓びを支えていきます。リコーは、これからもお客様に寄り添い、お客様との歓びの連 鎖を拡げてまいります。