Samsung Electronicsのスマートフォン(スマホ)事業を担当するMX(Mobile eXperience)事業部門が、新たに「AP(アプリケーションプロセッサ)ソリューション開発チーム」を立ち上げたと韓国の複数メディアが報じている。

チーム長はMX事業部開発室長を務めるチェ・ウォンジュンVP(Vice President)が兼務する。APソリューション開発チームは、MX事業部がスマホに入るAP開発を主導的に行うために設立された組織と推定されている。GalaxyシリーズのAP開発をテコ入れし、新たなメンバーでGalaxy専用AP開発を推進するために別途組織を組織したという解釈も出ているという。ただし組織の役割や人員は公表されていない。従来、AP設計は、DS(Device Solutions)部門のAP開発チームで行ってきたが、両者が今後どのようにすみ分けるのか注目が集まっている。

チェVPはソウル大学で電気工学の学士・修士学位を受けた後、米スタンフォード大学で電気工学の博士号を取得。Qualcommでワイヤレスチップセット開発業務を専担した後、2016年にSamsungの無線事業部次世代製品開発グループ長に迎え入れられた。以後、戦略製品開発チーム長を経て、今年、MX開発室長およびAPソリューション開発チーム長に任命された。

2022年初め、DS部門が設計した「Galaxy S22シリーズ」向け独自APである「Exynos 2200」が「ゲーム最適化サービス(GOS)」によってベンチマークアプリを除くさまざまなアプリのパフォーマンスが抑制されることが話題となった。この騒動を受け、2023年春に発売予定の次期フラッグシップスマホとなる「Galaxy S23」では、Exynos版を用意せず、QualcommのSnapdragonのみが採用される見込みだという。

このように現状のExynosシリーズは、iPhoneの独自APであるAシリーズやSnapdragonなどのフラッグシップAPにはかなわず、このままではGalaxyそのものの地盤沈下が懸念されるため、MX事業部自体が、いままでDS事業部のシステムLSI設計開発に依存してきたAPの開発に自ら乗り出してきたという見方が有力である。