広島市と日本IBMは12月26日、地域のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や雇用の創出、企業誘致活動の促進を図るための連携協定を締結した。今回の協定締結に伴い日本IBMは、顧客や地域の協力会社、地方自治体との共創を通じてDXを推進する拠点「IBM地域DXセンター」を2023年5月に広島県広島市に新設を予定している。
同センターは、先進的なテクノロジーや手法の活用でシステム開発と運用を高度化し、地域のDX推進に貢献するほか、デジタル人材の育成やイノベーション創出に地域の企業やスタートアップ、大学、産官学とともにに取り組む拠点として、さらに広島市への企業誘致などの中核となり、地域経済にも貢献していくという。
日本IBMのグループ会社である日本アイ・ビー・エム デジタルサービス(IJDS)は、広島市において、1999年から大手自動車メーカーのシステム構築・運用を担うアウトソーシングサービスの提供を中心に、自動車業界の業務知識と経験をベースとした基幹業務システムの開発・運用・保守、最新のCASE(Connected、Autonomous/Automated、Shared、Electric)対応ソリューションを含むさまざまなITサービスを提供している。
そこで今回、両者は地域のDX推進や人材育成を軸に地域の発展を目指す連携協定を締結し、地域の大学などと連携したデジタル人材の育成と地域課題の解決などの取り組みへの検討を進め、多様な市民が生き生きと暮らせるまちづくりに貢献するという。
また、DX人材の育成においては広島県内の大学や教育機関、企業、技術者コミュニティと連携し、DXの基礎から実践に必要なスキルなどを、IBM地域DXセンターの運営主体となるIJDSの実務担当者とのディスカッションを通じて学ぶ機会を提供する「地域共創DXワークショップ」の展開を予定。
IBMは2030年までに世界3000万人のスキル習得支援を表明しており、一環として展開している社会貢献プログラムのIBM SkillsBuildの広島市域での活用を共同で検討していく。
さらに、IJDSではシニア層を含むITエンジニアの経験者採用枠を拡大し、働く場所を問わないフルリモートの勤務体系に加え、年次の雇用契約により最大65歳まで働ける人事制度を導入しており、地域へのUターンやIターンを後押しすることに加え、自身や家族の事情と仕事を両立しながらフレキシブルかつ最大限に能力を発揮できる環境を提供することで、雇用の創出と地域活性化に取り組む考えだ。
なお、IBM地域DXセンターは2022年1月から北海道札幌市、沖縄県那覇市、宮城県仙台市、福岡県北九州市に展開し、広島市が5カ所目となる。来年には四国地方やそのほかの地域への開設も予定している。これによりIJDSと地域の協力会社をあわせた人材を2024年までに2500名規模に拡大し、地域のDX人材育成と、新しい働き方を実現し、地域経済への発展、ひいては日本社会の変革の加速に貢献していく。