野村ホールディングスは2022年12月22日、同社のデジタル戦略を紹介するメディア向け勉強会、第2回「Nomura Today」を開催した。
グループ全体でのデジタル戦略や組織体制、ビジネスの方向性と、その一例となるスマートフォンアプリを紹介した第1回に対して、第2回では「STO(セキュリティ・トークン・オファリング)」のビジネス化の取り組みが紹介された。
伝統的金融とDeFiの中間に位置するデジタル資産
野村ホールディングスは、金融サービスのデジタル化や新領域でのビジネス創出を実現すべく2019年4月に部門横断組織「未来共創カンパニー」を設立。2022年4月には組織名を「デジタル・カンパニー」に改称し、現在はグループ全体のデジタル戦略の策定、デジタル・アセット(資産)関連ビジネス、LINE証券サポート、グローバル連携の強化に取り組む。
野村ホールディングス 執行役員 デジタル・カンパニー担当の沼田薫氏は、「当初、スマートフォンアプリ開発のノウハウ・知見が無かったが、外部からのIT人材採用を強化し、デジタルカンパニーで開発実績を蓄積してきた。アジャイル開発の経験も積んできており、頻度の高いリリースを実現しつつある。DX人材の採用は、現在も積極的に行っている」と説明した。
新領域のビジネスの1つがSTOで、個人および機関投資家が投資可能な資産としてセキュリティ・トークンの取り扱いを開始している。
セキュリティ・トークンとは、不動産などの資産を裏付けにブロックチェーン技術を活用して発行されるデジタルな金融商品のことだ。有価証券(セキュリティ)をデジタルデータ(トークン)で取り扱うことから、セキュリティ・トークンと呼ばれる。
沼田氏は、「株式や債券などの伝統的金融と、NFT(非代替性トークン)や暗号資産のようなDeFi(Decentralized Finance、分散型金融)の中間に位置するのがセキュリティトークンとなる。価値や所有の権利をブロックチェーンで担保し、デジタル上で情報の閲覧や取引が可能な資産でありながら、金融商品取引法の規制を受ける金融商品であり、証券会社が商品の組成のアドバイスや売買の仲介を担当する」とSTOの特徴を説明した。
一般投資家が投資可能な国内初の公募型不動産セキュリティ・トークンとなるのが「ケネディクス・リアルティ・トークン渋谷神南」だ。一口当たり投資金額は100万円で、2022年8月1日から2026年1月期末までの運用期間の値上がり益のほか、定期的な分配金が金銭的なリターンとなる。