デロイト トーマツ グループは12月21日、全世界22カ国・地域の計38,150人(16歳〜75歳)を対象に実施した調査をもとに、日本独自の考察を加えた「Digital Consumer Trends 2022」(日本版)を発表した。

  • 保有しているデバイスの種類と保有率(前年比/各国別)(出典:デロイト トーマツ)

    保有しているデバイスの種類と保有率(前年比/各国別)(出典:デロイト トーマツ)

日本国内のスマートフォンの保有率は88%と前年までの伸びが鈍化し、飽和状態となっている。比較的新しいスマートウォッチ/ヘルスケアバンド(15%)や音声アシスタントスピーカー(8%)は逓増し、UKやオランダのスマートウォッチ/ヘルスケアバンドの保有率は20%、音声アシスタントスピーカーの保有率は15%を超えた。海外ではデバイスによって保有率に減少傾向がみられる。

国内消費者の33%は「デバイスに費やす時間を減らしたい」と考えており、42%は「デバイスの使用が理由で予定よりも夜更かしをする傾向がある」と回答。特に18‐24歳の62%は「夜更かし」すると回答した。

スマートフォン等のデバイス保有者の46%、スマートウォッチ/ヘルスケアバンド保有者の90%はなんらかの健康の指標をモニタリングしている。計測項目の多いのは歩数(71%)と心拍数(54%)。回答者の54%はデバイスで収集した健康関連データを医師に提供してよいとしており、この傾向は若年層になるにつれて高い。

  • デバイスでモニターしている健康関連の指標(出典:デロイト トーマツ)

    デバイスでモニターしている健康関連の指標(出典:デロイト トーマツ)

日本では、18〜24歳を除く全世代で、映画やテレビ番組の視聴や見逃し配信サービスの利用で最もよく利用するデバイスについて、昨年までのスマートフォンでの視聴から、今年はテレビデバイスによる視聴に変化している。

「購買行動(ショッピングサイト閲覧、オンライン購入)」において、前年までは44歳以下がスマホ利用中心であったが、今回は45〜54歳においてもスマートフォンを利用するとの回答となった。25〜34歳においては「据え置き型ゲーム機」の利用が多い。

  • 用途に応じて利用するデバイス(日本/年代別)(出典:デロイト トーマツ)

    用途に応じて利用するデバイス(日本/年代別)(出典:デロイト トーマツ)

「VRヘッドセット保有率」は前年に引き続き「3%」と横ばい。しかし、「毎日利用しているデバイス」として回答したのは、昨年から増加している。VRヘッドセット保有者の利用率は向上する傾向がみられたが、「メタバースを知っている」と答えた層は32%に留まった。

スマートフォンにおいて「自社製品のカーボンフットプリントを企業が共有するべきか」の質問に、日本の消費者の25%が「同意する」と回答。一方、欧州諸国では約57%と日本と比べて非常に高い。「価格が高くても、カーボンフットプリントが低い機器を購入するか」の質問に日本の消費者は12%は「強く同意する(2%)」、「どちらかといえばそう思う(10%)」と回答したが、欧州諸国では約28%が購入意向を示している。

日本の消費者のうち「中古品を保有している」という回答は5%、欧州諸国では約14%と大きく差が開いている。欧州ではiPhoneやAndroidなど携帯端末の中古品・整備品専門のマーケットプレイスが存在し普及しているが、日本においては、各種規制も影響し、中古品市場はまだ途上段階にあるとしている。

  • 中古スマートフォンの保有率(各国別)(出典:デロイト トーマツ)

    中古スマートフォンの保有率(各国別)(出典:デロイト トーマツ)

新しいスマートフォンを購入する理由は「寿命が長い(37%)」が最多で、欧州おm同様に高い割合(24%)であった。その他「中古/整備品の携帯電話への信頼度不足(26%)」、「新しい携帯電話がエキサイティングである(20%)」ことが挙げられる。

SVOD(有料動画配信サービス)の利用は、2021年まではコロナ禍の巣ごもり需要を背景に36%に伸長したが、2022年のSVOD利用率は38%と伸びは鈍化した。要因は若年層に顕著に表れ、18〜24歳の若年層では9ポイント低下しており全体の利用率を停滞させる要因となっている。

  • SVODの年代別利用率(日本)(出典:デロイト トーマツ)

    SVODの年代別利用率(日本)(出典:デロイト トーマツ)

SVODの解約理由については「一時的に/シーズン中に必要だった」(18%)、「私や家族が観たいものが何もなかった」(14%)、「私や家族が観たかったコンテンツを全て見た」(10%)が多い一方で、再契約の理由として「お気に入りの番組の新シーズンがリリースされた」(27%)という回答も多い。

「広告を視聴する形式での動画視聴の利用意向」は22%あり、広告を受け入れる姿勢は昨年(21%)よりほぼ横ばい。しかし、広告を見ないようサブスクリプション料金を払う意向のある消費者は特に若年層に増加し、18〜24歳の消費者においては昨年の20%から28%に伸びている。

屋内での固定系ブロードバンドサービスの総トラフィック量はCOVID-19前と比べて倍増し、モバイル通信の総トラフィックが約1.3倍伸びた。5Gサービスについては、5G端末を所有している消費者は30%に達し、「現在は5G端末を持っていないが、次は5G対応端末が欲しい」という消費者は20%いる。一方で、「5G対応端末を持っておらず、次の端末が5Gに対応しているかどうかは気にしない」という消費者は40%もいた。

  • 5Gの利用状況と乗り換えに対する意欲(出典:デロイト トーマツ)

    5Gの利用状況と乗り換えに対する意欲(出典:デロイト トーマツ)