情報処理推進機構(IPA)は12月21日、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進における人材の重要性を踏まえ、個人の学習や企業の人材確保・育成の指針として、「DXリテラシー標準(DSS-L)」と「DX推進スキル標準(DSS-P)」という2種類からなる「デジタルスキル標準(DSS)」を策定したことを発表した。
「DXリテラシー標準(DSS-L)」は、全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準を、また、「DX推進スキル標準(DSS-P)」は、DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルの標準を定めている。
「DX推進スキル標準」では、DXを推進する人材の人材類型の定義として、「ビジネスアーキテクト」「デザイナー」「データサイエンティスト」「ソフトウェアエンジニア」「サイバーセキュリティ」の5種類を挙げている。
「ビジネスアーキテクト」は、新規事業開発などのDXの取り組みにおいて、目的設定から導入、導入後の効果検証までを、関係者をコーディネートしながら一気通貫して推進する人材、「デザイナー」はビジネスの視点、顧客・ユーザーの視点等を総合的にとらえ、製品・サービスの方針や開発のプロセスを策定し、それらに沿った製品・サービスのありかたのデザインを担う人材と定義されている。
「データサイエンティスト」は、DXの推進において、データを活用した業務変革や新規ビジネスの実現に向けて、データを収集・解析する仕組みの設計・実装・運用を担う人材、また、「ソフトウェアエンジニア」は、DXの推進において、デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う人材と定義されている。
最後の「サイバーセキュリティ」は、業務プロセスを支えるデジタル環境におけるサイバーセキュリティリスクの影響を抑制する対策を担う人材となる。
IPAは、DXを推進する人材について、他の類型とのつながりを積極的に構築した上で、他類型の巻き込みや他類型への手助けを行うことが重要で、どちらかがどちらかに指示をする、または依頼する、といった形ではなく、さまざまな場面で2つまたはそれ以上の類型が、協働関係を構築し、連携することが重要と提言している。