復興庁が福島県・浪江町に令和5年(2023年)4月に開校を予定している「福島国際研究教育機構(F-REI)」について、その理事長就任予定者である山崎光悦復興庁参与・金沢大学特別顧問(図1)がこのほど、同研究教育機構の構想・計画などを解説した。
福島国際研究教育機構は福島復興再生特別措置法に基づく特別法人として設置され「理事長のリーダーシップの下で研究開発と産業化、人材育成を一体的に推進し、国際的に卓越した人材を確保し、“創造的復興の中核拠点”を目指す」という。このためには「卓越した人材を確保するため給与水準などを整備し、若手や女性を積極的に採択する構え」と語る。
この福島国際研究教育機構は、内閣総理大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、環境大臣の5大臣の所管下で、7年間の中期目標・中期計画の下で、科学技術力・産業競争力の向上を図り、経済成長に貢献することを目指している点が新しい研究開発組織になっている。
現時点での同機構が目指すテーマとして(基本計画として作成中のテーマ群)は、廃炉などに役立つ遠隔操作ロボット、農林水産資源の超省力生産・活用の実証研究、カーボンニュートラルを実現する技術実証、放射線科学創薬・放射線の産業利用、原子力災害のデータ・知見の集積・発信などが考えられている(現時点ではまだ予定、図2)。
こうした同機構が研究開発するテーマの研究開発成果を福島県などに還元することによって、産業集積・人材育成などを図り、福島県の浪江町などがある“浜通り地域”での人材育成・集積を図る構えだ。そして可能ならば、福島国際研究教育機構の研究成果を基にしたベンチャー企業の創業も図りたい模様だ。
注:理事長就任予定者である山崎光悦 復興庁参与は、2022年3月までの8年間、金沢大学の学長として、大学改革を主導し、高度なマネジメント能力を発揮したと評価された結果、今回、同機構の機構長予定者に就任したと伝えられている