freeeは12月13日、オンラインとオフラインのハイブリッドで記者説明会を開き、インボイス制度に対応した請求書を無料で作成できるサービス「freee請求書」の提供を同日に開始すると明らかにした。
インボイス制度は、適格請求書(インボイス)と呼ばれる一定の条件を満たす請求書や領収書などのやりとりを通じ、消費税の仕入税額控除をできるようにする制度で、2023年10月1日開始を予定している。事業者間の取引における請求書などの発行や保存のルールが従来と変わる。
ただ、同社が個人事業主を対象とした調査で「インボイス制度を知っているか」という問いに対して「制度内容を知っていて理解している」は14.4%にとどまり、さらには日本商工会議所が行ったインボイス制度に向けた準備状況の調査では「特に何もしていない」が60.5%となっており、「請求書等発行システムや経理・受発注システムの入替・改修などを行っている」が1.4%となっている。
freee 尾籠威則氏は「適格請求書発行事業者の登録申請期限は3月31日となり、登録申請して税務署の審査を通過した事業者が10月1日からインボイスの発行が可能になる。自社で登録申請を行わない場合、取引先の税負担が増大し、取引先も申請しない場合は自社の税負担が増大する」と警鐘を鳴らす。
これまで、同社では今年に「インボイス講座」や「インボイス登録診断ツール」、「インボイス登録申請ナビ」、「カンタン請求書作成サービス」、「freee会計」の全プランにで優良電子帳簿に対応し、今後の開発ロードマップも公表している。
そして、2023年中には電子文書をネットワーク上でやりとりするための文書仕様、運用ルール、ネットワークの国際規格フォーマットの違いを、送り手と受け手のアクセスポイントで統一されたフォーマットに変換する「Peppol」への対応を予定するなど、インボイス制度に対するサービスや周知に取り組んでいる。
また、同氏は「インボイス制度に対して、企業が最低限行うべきこととして、3月31日までは自社の登録申請、取引先の登録状況確認、10月1日までには自社も取引先も請求書対応することが求められる。ただ、こうした作業は非常に煩雑なものだ」との認識を示す。
その点、freee請求書は登録申請、登録状況確認、請求書対応を可能としている。
例えば登録状況確認では、適格請求書発行事業者か否かを国税庁のデータベースとWeb APIを介して自動判定することができるという。
主な特徴としては、見積書・納品書・発注書など、請求書以外にもさまざまな書類を作成することが可能なほか、フォームに沿って入力するだけでリアルタイムで書類に反映され、プレビューを見ながら簡単に書類を作成できる。
また、50種類以上のテンプレートの中から選択して書類を作成することができ、書類に記載する項目はテンプレートから追加や変更を行うことも可能としている。
インボイス制度では、新たに端数処理のルールの明確化が予定されており、freee請求書を使えば金額を入力するだけで、インボイスの計算方法で自動計算し、適格請求書の項目も満たした請求書を発行することができるという。
さらに、freee請求書では作成した書類は自動で電子データとして保存され、電子帳簿保存法で定められている削除履歴・訂正要件・検索要件にも対応し、電子帳簿保存法に沿って利用することが可能。
加えて、freee請求書をfreee会計と連携させることで、取引先情報の連携が可能としており、作成した請求書の情報をfreee会計に自動で反映し仕訳登録ができる。今後は入金ステータスを自動で管理する連携も予定している。