SCREENホールディングスの子会社で半導体製造装置サプライヤであるSCREENセミコンダクターソリューションズは12月9日、ベルギーimecとサステナブルな技術開発を行うため、共同開発のさらなる強化を目指し契約を更新したと発表した。今回の合意により、同社のウェハ洗浄技術をはじめとした専門的知見と、imecが有する先端半導体技術との相乗効果により、持続可能な社会に貢献する技術開発を推進していくとしている。

  • 12月9日にSCREEN本社で行われた調印式の様子

    12月9日にSCREEN本社で行われた調印式の様子。後ろ左からベルギー王国フランダース政府のヤン・ヤンボン首相、SCREENホールディングスの垣内永次 会長。前左からimecのルク・ファンデンホーブ プレジデント兼CEO、SCREENセミコンダクターソリューションズ社長の後藤正人氏 (出所:SCREEN)

半導体業界では、微細化・積層化・チップレット化がトレンドとなっており、高度な半導体製造プロセスの必要性が高まっている。そこで、コア技術の確立、品質の向上、コスト削減など、1社では難しいそうした技術開発を、先端顧客、国内外研究機関、異業種との連携や、産官学連携などコラボレーションを通して行うことが重要となってきている。

SCREENは2002年1月からimecのIIAP(imec Industrial Affiliation Program:産業界提携プログラム)に参加して以降、20年以上にわたり共同開発を継続実施し、その範囲を拡大してきたが、2022年5月からは、imecが進める半導体業界全体の環境負荷低減に関する新たな研究プログラム「SSTS(Sustainable Semiconductor Technologies and Systems)」にも参画している。今回の共同開発は、幅広い開発プログラムを持つimecと、洗浄装置やコーターデベロッパーを中心とした半導体製造装置のコンセプトや実現可能性を検証し、プロセス開発を加速させるものだとする。また、SSTSプログラムを活用した同社のサステナビリティ活動の拡大、半導体エコシステムにおけるimecのネットワークを通じたコラボレーションの活性化を目指すともしている。

なお、imecのSSTSプログラムとは、imecが持つインフラ、技術、装置における知見を活用し、確立された信頼性の高いモデルと、カーボンフットプリントの詳細な分析技術を用いて、半導体製造工程が環境に与える影響を予測することにより、半導体バリューチェーン全体の環境負荷低減を支援する取り組みであり、世界中の主要な半導体、装置材料メーカーが参画している。

契約調印式に出席したimecのLuc Van den hove CEOは「4~6年先に求められる次世代技術を共同研究したい」と話している。すでに同社は12月6日付で、新興のRapidusと最先端半導体技術の長期的で持続可能な開発協力に向けた覚書(MOC)を締結したが、これに伴い、周辺の半導体製造装置・材料メーカーもimecとの連携をさらに強める方向で動き出している。

  • ベルギー王国フランダース政府経済使節団とSCREEN経営陣との集合写真

    imecを中心としたベルギー王国フランダース政府経済使節団とSCREEN経営陣との集合写真。前列左から2人目がSCREENホールディングスの垣内永次 会長、3人目がベルギー王国フランダース政府のヤン・ヤンボン首相、4人目がimecのルク・ファンデンホーブ プレジデント兼CEO、5人目がSCREENセミコンダクターソリューションズの後藤正人 社長 (出所:SCREEN)