熊平製作所、クマヒラ、リアルネットワークス、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の4社は12月8日、数万人規模のイベントでの入場管理業務を想定し、可搬性の顔認証ゲートと「docomo MEC」の通信環境を組み合わせることで、これまでの顔認証ゲートに比べ、約23%高速化できることを共同検証で確認したと発表した。

  • 共同検証した環境

  • 本検証の構成イメージ

共同検証に使ったモバイルゲート

docomo MEC(Multi-access Edge Computing、旧ドコモオープンイノベーションクラウド)は、移動通信網において、顧客により近い位置にサーバやストレージを配備する仕組みで、docomo MECは、5Gを利用することで、広い帯域幅が利用でき、閉域網のため高いセキュリティを確保できる。

現在、日本全国で、9拠点で利用できる。

今回は、可搬性のモバイルゲートを利用することで、通信ケーブルが不要で簡単にどこでも設置可能で、イベント期間中のみ会場に設置するといった一時利用も可能だという。

  • docomo MEC

今回の共同実証では、1分間にゲートを通過できる人数が、従来環境と比較して 23%増加(39人→48人)した。3万人イベントにおいて、4つのゲートを設置した場合、これまでの3時間から約30分短縮できるという。

  • 共同実証の結果

NTTコミュニケーションズ 5G&IoTサービス部長 藤間良樹氏は、「3万人規模のイベントで、ゲートが4つだけというのは考えづらい。1分間に48人が通過できることは、実用レベルだ」と語った。

入場管理業務においては、人手では、非効率(チケットや身分証による入場権限の確認作業)、人にまつわる負担(スタッフ確保の手間、コロナ感染リスクなど)、 目視確認による誤認のリスク、チケットの転売、偽造のリスクといった課題があるが、屋外での有料イベントなど、一時的な利用のために常設のゲートを導入するのは非現実的で、インターネット経由の制御では反応速度やセキュリティでも不安がある点が、今回の共同検証に取り組んだ背景だという。

4社の役割は、熊平製作所が可搬型のセキュリティゲート(モバイルゲート)の提供、環境設定、技術的評価)、クマヒラが事業的観点からの評価(クマヒラは熊平製作所の販売会社)、リアルネットワークスがAI顔認証プラットフォーム「SAFR」 の提供、技術支援、NTT Comが5G 回線などの通信環境設定、「docomo MEC」提供、技術支援を行った。

4社は検証結果を踏まえ、「AI 顔認証モバイルゲート」の商材化に向けた検討を行い、今後は大規模イベントの運営企業など、入場管理業務を行う企業に向け日本各地において共同でプロモーションを実施。具体的には、デベロッパー、建設などの業界における活用を想定しているという。加えて、将来的にはネットワークスライシングなど、5G SAならではの先進テクノロジーとの組み合わせにより、さらなる価値向上も検討していくという。

  • 想定している利用用途