パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は12月7日、電波法申請に向けた電気安全環境研究所(JET)の「特任外部試験所」の認定を取得したことを発表した。

2022年4月より事業会社制(持株会社制)へと移行したパナソニックHD。同社の多岐にわたる製品の開発設計・製造を支えてきたのが独立した技術部隊であり、さまざまな角度による解析評価技術のノウハウを培ってきた。パナソニックHD プロダクト解析センター 所長の難波嘉彦氏は、そんな解析評価技術について「モノ・コトの出来栄えを原理・原則に基づき数値化・見える化する技術」と説明。グループ内における商品の出来栄えを評価したり、工場の生産性や効率性の解析を行うなど、すべてのものづくり領域を横断的に下支えする技術であるとする。現に2022年4月以降も技術部門はホールディングス傘下として置かれ、その中にプロダクト解析センターを設置し、全社横断的に解析技術を活用したサポートを展開しているという。

  • パナソニックグループにおける解析評価技術の位置づけ

    パナソニックグループにおける解析評価技術の位置づけ。商品そのものから生産現場まで幅広く支える技術としている

そんなプロダクト解析センターのコア技術は「ユーザビリティ」、「材料分析」、「EMC(電磁環境両立性)」、「電子回路解析」、「デバイス創造」、「電気・人体安全」、「バイオ評価」、「信頼性」の8つ。「ここまで幅広い技術を有してるのは国内外を見渡しても珍しい」(難波氏)と、その技術対応範囲の幅広さを強調する。

今回のJETの特任外部試験所の認定取得は、その中でもEMC分野の技術力や設備などが評価されたもの。JET 東京事業所長の渡邊靖之氏は、「パナソニックの有する人員の技量を確認したほか、設備や装置も求められる要件を満たしている。また電波法などの理解度なども確認し、すべてが一定のレベル以上であることから認定を行った」と、背景を説明する。

この認定取得により、パナソニックHDはWi-FiやBluetoothなどの特定無線設備の技術基準適合証明に必要な試験を自社のサービスとして提供することが可能となる。すでに対象となる兵庫県の「篠山EMCサイト」は、電波暗室やシールドルームなどを備えており、従来のEMCに関するISO/IEC 17025の試験所認定をすでに保有済みであり、そうした技術力が評価されたという。

  • JETの特任外部試験所システムの概略

    JETの特任外部試験所システムの概略

  • 篠山EMCサイトの主要設備

    篠山EMCサイトの主要設備

具体的なサービスの枠組みとしては、IoTの普及で年々増加する2.4GHz帯や5GHz帯の無線通信機器などが、設計規格値内に収まっているか、技術基準を満たしているか、といった評価を行い、その実測データを元にJETが適合審査を行うという形となる。

  • JETの特任外部試験所システム活用の枠組み
  • JETの特任外部試験所システム活用の枠組み
  • JETの特任外部試験所システム活用の枠組み

  • JETの特任外部試験所システム活用の概略

    JETの特任外部試験所システム活用の概略。赤い枠で囲った部分が特任外部試験所が担当する部分となる

2023年1月11日より、まずは2.4GHz帯の電波法 種別第19号に規定する特定無線設備を対象に以下の3種類のサービスを提供していくという(受け付けは2022年12月8日より開始)。

  • 技適マーク取得に向けた特性試験サービス
  • 設計検討段階での依頼測定サービス
  • 量産管理測定サービス

なお、パナソニックHDでは「2023年春ごろをめどに5GHz帯にも同様のサービス提供を目指す」(パナソニックHD プロダクト解析センター 安全・EMCソリューション部 EMC設計課 課長の石橋直人氏)としており、これら2つの帯域でのサービス拡充などを進めながら、顧客ニーズを見ながら、それ以外の周波数帯もサービスとして提供するかどうかを判断していきたいとしている。

  • 説明を行った3人

    説明を行ったパナソニックHDの難波嘉彦氏(左)、パナソニックHDの石橋直人氏(中央)、JETの渡邊靖之氏(右)

  • 特任外部試験所 認定書の原本

    特任外部試験所 認定書の原本