サイオスは12月7日、2023年度の注力事業について説明する事業戦略発表会を開催し、喜多社長は新たに医療向け情報サービスのSaaSビジネスに注力していくと発表した。
新たな事業「Med Tech」
同社は昨年の12月、SaaSビジネスに注力していくことを発表している。同社の主力のSaaSは、GluegentシリーズとHR Techだが、ここに医療向け情報サービス(Med Tech)事業を注力領域として加える。
サイオス 代表取締役社長 喜多伸夫氏は現在のSaaSの市場環境について、「コロナ禍を契機とし、引き続き、DX実現に向けたSaaSを含むパブリッククラウド活用の機運は高まり、採用が進んでいる。SaaS市場は、2022年度に約1.3兆円(前年比114%)となる(参考:富士キメラ総研「2022 クラウドコンピューティングの現状と将来展望 市場編」)と予測され、SaaS事業への投資を継続強化する」と述べた。
同氏は「Med Tech」に注力する理由を「医療情報システムの普及率は年々上昇しているがDXの分野では進捗していない、これがわれわれが参入する背景だ」と語った。
「Med Tech」では、今春サービス提供を開始した医療法人社団成仁の監修・設計の精神科病院向け電子カルテサービス「INDIGO NOTE(インディゴノート)」がある。「INDIGO NOTE」は、これまで独自のデータ保存形式での管理が主流であった電子カルテサービスに、次世代医療情報交換規約「HL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resource)」をデータ蓄積・交換にかかる標準規格として国内の電子カルテサービスとして初めて採用した。
「INDIGO NOTEは、大病院からクリニックまで使っていただける。後発の強みを活かし、先発品の成功に資する知識や失敗から学ぶ知識を吸収している」と、喜多氏は強みをアピールした。
まだ、販売チャネルで確立したものはないか、業界パートナーのいくつかが興味をもっており、近々発表できるという。また、医師などの業界団体との連携を深め、その団体を通した販売も模索していくという。現在、大きな病院からの関心が高いという。
同社では、将来的には、精神科以外の診療科へ展開拡大を目指しており、APIの拡充によるレセプト等他システムとの連携を強化し、提供サービスの拡充を図っていくという。
既存のSasSビジネスの強化
既存のSaaSサービスでは、Gluegentシリーズに注力。とくにワークフロー製品である「Gluegent Flow」と、IDの統合管理サービスであるIDaaS(Identity as a Service)の「Gluegent Gate」の販売に力を入れるという。
Gluegent Flowでは、電子契約サービスとの連携を強化してきたが、今後は複数のサービスと連携して課題を解決していくための機能や稟議申請だけでなく業務を回す上で必要な機能の強化を図り、販売についてもパートナー販売体制の強化やKPIを適切に改善していくサイクルづくりを図っていくという。
「Gluegent Gate」は、ゼロトラストにおけるポジションをより明確に打ち出すための機能強化を図り、販売面はエンタープライズに提案できる体制の強化を推進するという。
もう1つの「HR Tech」市場については、フリーアドレスとテレワークを一元管理する座席管理システム「YourDesk(ユアデスク)」と企業価値の持続的向上につながる人材戦略を支援するエンゲージメントサーベイ「OurEngage」に注力。
「YourDesk」は、ユーザビリティの向上や他システム連携の強化といった機能強化を図り、より認知を上げていく取り組みやパートナー販売の立ち上げ・強化を図る。
「OurEngage」は使いやすさ、わかりやすさの向上を図り、デジタルマーケティングの強化やウェブサイト強化を図り、販売増につなげていくという。