デル・テクノロジーズは12月6日、米国本社からas-a-Serviceである「Dell APEX」の開発にかかわったバイスプレジデント APEX プロダクトマネジメント チャド ダン(Chad Dunn)氏が来日し、メディアブリーフィングを開催した。
APEXは、これまで同社が提供してきたインフラソリューションをas a Serviceとして提供しようとするもの。
チャド ダン氏は、現在の市場の状況について、「市場はマルチクラウドの世界になってきており、複数クラウドからなるハイブリッドクラウドを実現している。われわれの顧客の9割はハイブリッドクラウドの戦略を打ち出し、このうちの75%は3つ以上のパブリッククラウドを使っている。APEXの目的はお客様をマルチクラウド/ハイブリッドクラウドの世界に導いていくことだ。それにより、オンプレミスの課題やクラウドの課題解決も行っていく」と、ほとんどユーザーがマルチクラウド利用にシフトしているとの見解を示した。
同氏は、オンプレミスの課題として今後の拡張を見据え必要以上に設備投資する点、使えるようになるまで時間がかかる点、初期投資費用がかかる点を挙げ、一方のクラウドの課題として、セキュリティ/コンプライアンス、パフォーマンス/遅延、価格、クラウド上にデータが貯まってしまう、マルチクラウドによるデータのサイロ化などがあるとした。
その上で、「APEXは計画的なマルチクラウドを実現するもので、オンプレミス用のソリューションをパブリッククラウド上でも稼働させる、クラウドのサービスをオンプレミスに移行させるという2つの側面がある。APEXはas a Service型として、弊社で管理を行うものと、管理はお客様が行い、サブスクリプション型として利用するという2つの利用法がある。APEXでは、ソフトウェア型のストレージをパブリッククラウド上に展開し、オンプレミスと同様に運用やガバナンスの一貫性を担保する」と説明した。
同社はすでにAWS向けのブロックストレージ機能を提供しているが、来年にはAzureやGoogle Cloud向けにもブロックストレージ機能を提供するという。また、APEXは現在、ストレージの展開だが、今後はコンピュート(サーバ)の展開も計画しているという。コンピュートでは、APEX プライベートクラウドとAPEXハイブリッドクラウドの2つの展開を考えており、どちらも、VxRailハイパーコンバージド インフラストラクチャをベースにするという。また、その後、PowerEdgeをベースにしたベアメタルサービスの提供も計画しているという。
今後、APEXがビジネスの中心になるのかという質問にダン氏は、お客様次第だと前置きした上で「APEXはわれわれのビジネスモデルの基礎になっていくものだ。マイケル・デルが多くの時間をAPEXのアナウンスに割いている点からもそれは実証されている」と述べた。
なお、今年の10月に来日した米デル・テクノロジーズ グローバル チーフ テクノロジー オフィサー(グローバルCTO)のジョン・ ローズ氏は、APEXはあくまで選択肢の1つだと語っている。
また同日には10月14日、プライベートイベント「Dell Technologies Forum 2022 - Japan」でアナウンスされた「Project Frontier」についても触れた。
「Project Frontier」は、ソフトウエァによる仮想エッジプラットフォームを作っていこうというものだ。このプラットフォームの下にはエッジ用のサーバがあり、ハードウェアはキャパシティのプールとして使われる。また、管理ツールも作っていき、これによってソフトウェア定義型のエッジスタックを展開していこうとしている。このProjectの目的は、1つのプラットフォーム上に、倫理的なソフトウェア定義型のエッジをいくつも載せられるようにするものだという。
米デル・テクノロジーズ APJシニア ディレクター 兼 プリセールス責任者 「Dell APEX」クラウド&コンテナ ソリューション グレン ハイアット(Glen Hyatt)氏は具体的な展開として、「業界別のソフトウェアオーケストレーションプラットフォームになる。エッジの展開を自動的にできるようにするものだ。われわれは、システムインテグレータとのパートナーシップを重点に展開していく予定だ。Project Frontierを通してオーケストレーション機能を提供する。パートナーにはワークロードの部分の提供を担ってもらおうと考えている。製造業が得意なSIerがいれば、われわれのProject Frontier上にワークロードを載せて、as a Serviceとして提供するといったことが考えられる」と語った。