竹中工務店は12月2日、高品位な音響が必要とされる劇場やホールの設計段階でバーチャルリアリティ(VR)を活用し、音響と建物の内部空間を創出することで臨場感ある疑似体験を提供できる可搬型音場シミュレーターの開発を発表した。

  • 可搬型音場シミュレーター利用イメージ(同社資料より)

    可搬型音場シミュレーター利用イメージ(同社資料より)

同社の室内音場シミュレーター「STRADIA」にVRシステムを同期させることで、頭の動きや向きを検知し音を合成する「高臨場感可聴化システム」やVR空間内の移動に合わせて音を変化させる「動的可聴化システム」を開発している。「高臨場感可聴化システム」は、各スピーカから個人の耳の入口までの音の伝わり方を解析し、音の響きを付加して合成。ヘッドフォンに搭載した加速度や地磁気、ジャイロスコープを組み合わせた9軸のセンサーにより、頭の動きに追随させVR映像に音を同期させる。「動的可聴化システム」は、VR空間の移動や発音のタイミングに合わせて音を解析し、建物内のロビーや廊下、ホールの入口やステージなどの音の変化を再現する。

  • 高臨場感可聴化システム」の技術(同社資料より)

    「高臨場感可聴化システム」の技術(同社資料より)

  • 「動的可聴化システム」の利用イメージ(同社資料より)

    「動的可聴化システム」の利用イメージ(同社資料より)

システムは可搬型で、動作検出センサー搭載のヘッドフォンとノートパソコン、ヘッドマウントディスプレイ、マイク、コントローラーだけで運用できる。施主の元に直接訪問し、デザインや間取り、内装などのプレゼンや確認など、広い用途で利用可能だ。劇場やホールほどのクオリティを必要としないオフィス、店舗などでの人の動きや位置などに合わせた会話音の聞こえ方なども再現し、騒音に拘る施主などの要望に応える提案などもできるという。