Space BDは11月29日、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟の船外プラットフォーム利活用サービスをソニーグループに提供したことを発表した。
ソニーグループでは、同サービスを用いて、独自開発する低消費電力広域(LPWA)通信規格「ELTRES」対応無線実験装置の宇宙における実証実験を実施。信号の受信に成功し、2022年10月27日に軌道上でのすべての実証実験を完了したという。
Space BDは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの打ち上げ機会・ISS「きぼう」船外利用枠の確保や、各種技術調整、各環境試験結果の審査、官辺手続など、実験装置の宇宙での実証に必要なサービスを一貫型で提供しており、今回の実証実験においては、「きぼう」船外にある中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)を活用することで、ユーザーは実験装置の製造に注力することが可能となったほか、宇宙空間での電力供給/通信トラブルなどのリスクを低減し、より最適な実験環境を提供することができるようになったという。また、今回の実証実験では、曝露実験期間の延長を含むソニーグループの運用計画の見直しにも柔軟に対応できた点も、i-SEEPを用いた軌道上実証の強みとして確認されたともしている。
さらに、今回の実証実験では、日本初となる外部運用クラウドの活用も実施。従来、データ取得などのために行われるISSとの通信は、JAXA筑波宇宙センターの敷地内から、JAXA管制官を通じてのみ連携が許可されていたが、JAXAは2022年4月に外部運用システムを整備。今回は、これを活用することで、ソニーグループでは事前に許可されたJAXA敷地外からISSと通信することが可能となり、Space BDのサポートのもと、より効率的で手軽な軌道上実証を実現することが出来たともしている。
なお、Space BDでは、同サービスを利用することで、宇宙空間での機器実証に向けたハードルを下げることを目指し、より多くの宇宙利活用に向け、今後もサービス拡充を図っていくとしている。