NTTデータグループでコンサルティング事業を手がけるクニエは11月30日、「宅配便の配送能力に関するレポート」を公開した。
同レポートは、宅配便の取り扱い数増加に伴いドライバーの不足が指摘される中で、今後の不足状況やそれを引き起こす課題を把握し具体的な対策に活用することを目的に、クニエが独自試算したもの。試算にあたっては「宅配便取り扱い個数」、「人(ドライバー)」だけでなく「車両(トラック)」にも着目し、2030年までの配送能力を予測した。
その結果、宅配便需要におけるトラックによる配送能力は、2030年にドライバー不足が約5万人8000に達し、2027年以降には車両も不足する見込みになったという。
近年、継続的に成長してきたBtoCのEC市場規模は、2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大による巣ごもり需要の影響によりさらに拡大した。それに伴い宅配便取り扱い個数も増加し、国土交通省によると2020年度の実績値として、年間で約48億個の宅配便が日本全国で配送された。
宅配便が休息に増加する一方、配送の中心を担うトラックのドライバー不足が指摘されている。特に、2024年4月より、働き方改革関連法による「時間外労働時間の上限規制」などが「自動車運転の業務」にも適用され、物流コストの上昇と人手不足の加速が物流業界全体における「2024年問題」として懸念されている。
クニエの試算によると、宅配便取り扱い個数は今後も伸長し続ける一方、ドライバーの供給可能予測数は不足が見込まれている。2024年からはドライバー1人あたりの稼働時間が減少するため、さらに多くのドライバー数が求められ、2030年には不足が約5万8000人に達する見込みだ。車両台数については2027年以降に需要が供給を上回る試算結果となり、2030年には約1万台が不足すると同社は予測。
同レポートでは、「トラックによる配送能力不足」の代替手段についても触れている。トラックによる宅配便の配送はさまざまな限界や課題を抱えているため、「トラック」という配送手段自体を見直す時期が来ていると同社は指摘。
そこでクニエは、「環境問題」「道路事情」「小型荷物の増加」「トラック運転手数の鈍化」の4つの観点から、今後不足する「トラック」による配送能力を補う輸送手段として「商用EV三輪バイク」の利用を提言している。クニエは今後、同レポートで得られた試算結果を、物流やサプライチェーン領域における企業の課題解決に活用していく考えだ。