千葉大学医学部附属病院(千葉大学病院)とNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は11月29日、患者のプライバシーを保護したままIBD(炎症性腸疾患)に関する新たな知見獲得と患者のQOL向上を目指す観察研究を、12月から開始すると発表した。
今回の研究ではePRO(electric Patient-reported-outcome:電子的な患者報告アウトカム)システム「SmartPRO」と、データを秘匿化したまま分析を行い結果のみを出力する「析秘」を用いる。
患者はSmartPROを使い日々の体調変化などプライベートな内容を自身のスマートフォンから回答する。収集された回答は析秘により患者の氏名や年齢などの個人情報が秘匿化された状態で分析され、その結果のみが医師や研究員にフィードバックされる。この情報は新たな治療法の開発などに役立てられる予定だ。
また、今回の研究ではNTT Comデザイン部門との連携によって、患者へ分析結果をフィードバックする手段の提供に加えて、臨床所見とPROを秘匿化したまま横断的に分析することや、複数の施設から収集された臨床所見とPROを秘匿化したまま分析する多施設共同研究などにも取り組む。
従来のIBDの観察研究は数カ月に1回程度の診察で収集した臨床所見に基づいて進められてきたが、日々の症状の変化の把握が困難な上、医師に伝えづらい日常生活などの情報提供に伴う患者の心理的な負担が課題となっていた。そこで両者は、デジタル技術を活用して患者のプライバシーを保護しながらPROの収集と分析を実現する仕組みの開発を進めるという。