中国税関の2022年10月度輸入データによると、オランダからのIC製造装置の輸入額が2021年10月の1億5907万ドルから3億3673万ドルへと、前年同月比111.7%増となったほか、米国および日本からのIC製造装置の輸入はそれぞれ同13.6%減、同13.5%減となったと台湾メディアなどが報じている。中国が輸入するASML製露光装置の増加が背景にあると見られる。
オランダはオランダの国益を優先
米国は、中国の半導体製造能力の向上を抑えることを目的に、同盟国に対しても先端半導体向け製造装置の中国への輸出を控えるように協力を要請しているが、オランダのLiesje Schreinemacher(リーシュ・シュライヤマッハ)外国貿易相は、11月22日に開催された同国の国会にて、ASMLの中国への半導体製造装置販売に関して「我々は、自分たちの利益、つまり国家の安全や経済的利益を守ることが重要。米国や他の同盟国との貿易ルール協議の中で、米国の戦略に従って言いなりになるのではなく、オランダが独自の判断を下す」と述べたと複数の海外メディアが伝えている。
米国の圧力を受け、オランダ政府はASMLのEUV露光装置の中国への販売を許可していないため、SMICのほか、SK hynixも中国無錫工場のDRAM製造ラインへのEUV露光装置導入を断念したとされている一方で、EUV以外のDUV露光装置は中国向けに販売を継続しているという。しかし、米国当局は、DUV露光装置群の中で高度なArF液浸露光装置についても中国への販売を禁止するようオランダ政府に圧力をかけているとされており、この動きに対し、オランダの外国貿易相が不快感を示したものと受け取られている。なお、米国政府は、12月にオランダへ商務省高官を送り込み、オランダとのさらなる協力関係に向けた協議を行う予定だという。
一方、中国政府は、米国以外の国々が米国の中国に対する規制に歩調を併せないよう、世界に向けて働きかけているという。例えば、先般開催された20カ国・地域(G20)首脳会議にて、中国の習近平国家主席がオランダのMark Rutte(マーク・ルッテ)首相に対し、世界貿易を混乱させないようにと要請したと伝えられている。