TrendForceによると、2022年第3四半期のNAND市場は家電やサーバなどの出荷が予想を下回ったため、平均販売価格(ASP)が前四半期比18.3%減、ビット出荷量も同6.7%減となり、市場規模も同24.3%減の137億1360万ドルとなったという。
また、多くの今後の経済見通しが悲観的な数字を出していることもあり、多くのNANDユーザー企業も設備投資計画の縮小などを進めていることを受け、サプライヤ各社は過剰在庫を抱えるようになったともTrendForceでは指摘している。
キオクシアが2位に浮上
自社ブランドのNANDサプライヤの売上高を見ると、同四半期では、SKグループ(SK hynix+Solidigm)が、PCおよびスマートフォン(スマホ)の需要減(Solidigmはサーバ需要の減退含む)により前四半期比で最大の下げ幅となる29.8%減(25億4000万ドル)にとどまった。
一方、キオクシアは、2022年初頭に生じた製造ラインにおける材料汚染事故から徐々に回復させ、家電の需要減退の影響はありつつも、スマホ向けに伸びた結果、ビット出荷量が同23.5%増となり、その結果、全体の売上高は同0.1%減(28億3000万ドル)にとどまり、前四半期2位であったSKグループを抜き、2位となった。
多くのサプライヤで価格と出荷ビット数量、売上高すべてが下落
大手5社の残り3社(Samsung Electronics、Western Digital、Micron Technology)は、いずれも価格、出荷ビット数量の両方を低下させる結果となり、売上高もマイナス成長となった。
業界トップのSamsungの場合、サーバ需要の鈍化によりエンタープライズSSDの出荷が減少した影響が大きく、売上高は同28.1%減の43億ドルにとどまった。4位のWestern Digitalの売上高は、同28.3%減の17億2000万ドル、5位のMicronは、車載メモリは好調であったが、それ以外は低調となり、その結果、売上高は同26.2%減の16億8800万ドルとなった。
2022年第4四半期もNAND市場はさらに減速か?
TrendForceによると、2022年第4四半期の見通しについて、Samsungを除くほとんどのサプライヤが慎重な生産計画を取り入れるとみられるという。具体的には、需給バランスをできるだけ早く回復させるために、サプライヤ各社はウェハ投入量の削減やさらなる多層化へ向けた技術移行のペース減速などといった対策を講じると思われるという。
例年、年末商戦に伴って需要が増加するが2022年はそうしたことも起きず、NANDのバイヤーは消極的な姿勢を見せており、結果として供給側の在庫がさらに積まれる見込みだという。こうした状況もあり、生産削減の市場への影響は少なくとも四半期以上経過しないと顕在化しない。そのため、NAND製品の価格は、第4四半期も依然として下落圧力にさらされることになり、TrendForceの最新の予測によると、大口契約価格は前四半期比20〜25%減となるとみられるとのことで、購入意欲の減退と併せて同四半期のNAND市場は前四半期比で約20%減となるとしている。