DigitalBlastは11月24日、同社が開発している小型ライフサイエンス実験装置「AMAZ(アマツ)」の実際に宇宙に打ち上げるフライトモデルの開発・製造の設計について、三菱重工業への委託を決定したことを発表した。

アルテミス計画では2020年代後半に月面に恒久的な有人活動拠点の建設が予定されており、また将来の火星有人探査でも一度火星に行ったら地球との位置関係で帰還のタイミングを待つために現地で1年程度は留まる必要があるとされる。そのため、地球から離れた宇宙環境における宇宙飛行士の食料の確保や、植物栽培に対する課題意識が高まっている。しかし、まだ人類は月や火星などの低重力環境における植物育成への影響は十分に把握できていない。

こうした背景のもとDigitalBlastは現在、月面での生態循環維持システム構築に向けたプロジェクト「NOAH(ノア)」を進展中であり、その第一歩として2024年の国際宇宙ステーション(ISS)への設置・運用を目指し、AMAZのプロトタイプによる地上実験が進められている。AMAZは、装置内の一部を回転させることで、微小重力や低重力などのさまざまな重力環境を再現し、同時比較できる小型ライフサイエンス実験装置で、多様な重力環境下での植物などの栽培・培養を通して、生物の重力応答に関する基礎データを取得することを目的としている。

DigitalBlastは今回、AMAZの設計を三菱重工に委託し、同社が保有する航空・宇宙開発の技術や知見を活用し、2024年に同装置をISSに設置・運用する計画に向け、宇宙実験プラットフォーム構築の実現を目指していくとしている。まずは、AMAZの要求分析など、フライトモデルの開発・製造に向けた概念設計・予備設計を三菱重工へ委託して進めていくという。

両社の持つ技術や知見を最大限に活用することで、微小重力環境での栽培・培養における研究機関への実験環境の提供や、宇宙関連商品の開発を行う民間企業への実験結果の提供が行われ、さらなる宇宙ビジネスの発展につながることが期待されるとしている。

  • 小型ライフサイエンス実験装置AMAZの試料容器を取り付ける様子

    小型ライフサイエンス実験装置AMAZの試料容器を取り付ける様子 (出所:DigitalBlast Webサイト)