日立製作所(日立)グループでの鉄道システム事業を手がける日立レールは11月24日、イタリアからデジタル信号システムを8億6700万ユーロ(約1260億円)で受注したと発表した。欧州共通の列車制御システムであるERTMSを、イタリアの鉄道路線網のうち1885キロメートルに設計・設置する。
ERTMSは最新のデジタル鉄道制御システムで、イタリア国外から来る列車が国境で信号切り替えをすることなくイタリア国内の路線に乗り入れて運行できるようになるシステムだ。ERTMSはすでにイタリアの高速鉄道で使用されており、現在在来線への導入が進められている。ERTMSでは無線システムによって車両と軌道の間で通信を行うことができるようになり、列車が制限速度を超過した場合や緊急時に自動的に緊急ブレーキをかける。同技術によって速度、加速、減速を制御して、列車をより効率的に走行させることができ、エネルギー消費と二酸化炭素排出が削減できる。
同契約は、エミリア・ロマーニャ州、トスカーナ州、ピエモンテ州、ロンバルディア州、リグリア州、ベネト州、フリウリ・ベネツィア・ジュリア州を含むイタリア北中部への導入を対象にしている。イタリア政府の「再興・回復のための国家計画(PNRR)」により資金が拠出される、累計約4800キロメートルの鉄道路線整備に関する技術プロジェクトの最後の案件でもあるという。日立にとっては、イタリアの鉄道路線網のうち700キロメートルにデジタル信号システム・ERTMSを設計・設置する5億ユーロ(約725億円)の2021年11月の共同受注に続く契約とのことだ。