デロイト トーマツ ミック経済研究所は11月22日、市場調査レポート「ローカル5Gソリューション市場の現状と将来展望 2022年度版」を11月16日に発刊したと発表した。これによると、2022年度におけるローカル5G(第5世代移動通信システム)ソリューション市場は2021年度と比べて37.8%増の232億1700万円となる見込みだが、2020年度における期待値を下回るという。
同市場は2020年度にNSA(Non-Stand Alone)でスタートを切り、2021年度にはSA(Stand Alone)方式での運用開始に伴い本格的な市場形成がスタートした。
2021年度の同市場はPoC(概念実証)が中心ではあるものの、2022年度から半ば試験的ながらも商用案件が普及し始めており、Wi-Fiとの差別化やローカル5Gを有効活用できるユースケースも徐々に明確になってきているとのこと。
また、複数ユーザーによるコア・ネットワークの共有化や、月額30万円ほどで利用できるローカル5Gサービス、RU(Radio Unit)/CU(Central Unit)/DU(Distributed Unit)一体型基地局などスモール・スタート向け製品の登場など、市場課題だったコスト面でのハードルが低下していることも市場拡大要因となっていると同社は見る。
一方で、商用中心市場への移行には、キラー・ユースケースの発掘や端末価格の更なる低廉化など複数の課題があることから、2023年度まではPoC中心市場が続く見通しだという。
2023年度下期から2024年度下期に端末価格の低下やURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)機能の拡張による超低遅延通信を生かした用途が拡大し、2025年度から本格的な商用フェーズに突入すると同社は考えている。このような状況から、2027年度の市場規模は2058億7000万円になると同社は予測する。
ユースケースの傾向について、2022年度は工場、鉄道・港湾、電力・ガス・製造プラントなど公益インフラでのユースケースが先行している。ローカル5Gの性質上、ユーザーが土地を所有し、屋外の広大な敷地をカバーする案件で成功事例が多いとのこと。
2023年度以降は物流倉庫や建設現場でのAGV・建機制御、超低遅延・大容量通信を利用したスタジアムやe-スポーツ会場など映像配信でも活用事例が増えると、同社は予測する。
特に、AGV(無人搬送車)や建機、フォークリフト、ロボットなどの制御では超低遅延通信が必須であり、ネットワーク・スライシング技術やリリース16対応製品の普及と共に、こうしたユースケースが増加する見通しだ。