リコー、西武リアルティソリューションズ(以下、SRS)、日本コンベンションサービス(以下、JCS)は11月21日、SRSとJCSが共同運営する紀尾井カンファレンス(東京都 千代田区)に、リコーが開発した会議空間「RICOH PRISM(リコー プリズム)」を期間限定で設置して稼働を開始することを発表した。
すでに予約受付を開始しており、2023年1月4日から提供を開始する。提供期間は約1年間の予定。営業時間は9時から21時まで、料金は1時間あたり1万6000円。なお、8時間以上利用する場合は1時間あたり1万5000円での提供となる。また、紀尾井カンファレンス内の他の部屋を借りる場合は無料でRICOH PRISMを利用可能だ。
リコーは創業100年目を迎える2036年に向けたビジョンとして「“はたらく”に歓びを」を掲げ、働く人がより創造的な仕事に従事し、人が人ならではの能力を発揮するためのデジタルソリューションを展開している。
これまで複合機をはじめ、OA(Office Automation)機器などオフィス空間の効率化を支援する仕組みを提供してきた同社だが、RICOH PRISMはそれらのサービスで生み出した時間を「人がより人らしくいられる時間」としてどのように有効に利用するのかに挑戦するソリューションとしている。
RICOH PRISMのコンセプトは「デジタルアルコール」。数10年後の未来を想像したときのありたい働き方から逆算して開発した、未来の会議室と位置付けている。お酒を飲んだ時のようなリラックス感や陶酔感をデジタルの力で演出し、普段の会議とは少し違ったコミュニケーションやムード作りに寄与するという。
創造性の発揮を促す「旅する(WANDER)」やチームビルディングを促す「交える(GATHER)」など、全4カテゴリーから10個のアプリケーションを展開する。
今回紀尾井カンファレンス内に設置したRICOH PRISMは、4.1メートル四方の空間で、4面の壁と床面に映像を投影できる。報道向けにRICOH PRISMが公開され、「交える(GATHER)」の中からアイスブレイクに適したアプリケーション「PERSONA」を体験してきたので、次世代型の会議室空間の様子をお届けしたい。
まず、入室する際に腕にセンサーとなるデバイスを装着する。これにより室内でのインタラクティブな操作が可能となる。また、ここからは基本的にスマートフォンを利用して作業を進める。
スマートフォンを壁に向けるとポインタとして機能する。また、スマートフォン画面上の丸を押しながら話しかけることで、話した言葉が壁に付箋として貼り付けられる。これはブレインストーミングなどたくさんのアイデアを自由に出す場面で有効だ。
PERSONAのアプリケーションを起動すると、「常に未来に対して情熱を持っているほうだ」や「自分の感情を表現することが苦手だ」など、個人の性格に関する16の質問が提示される。参加者は「あてはまる」や「あまりあてはまらない」など直感的に回答する。
回答を終えると、各参加者の回答内容に応じて「LEAD」「INFULUENCE」「FOLLOW」「ANALYST」から最も近いものが示される。この結果に基づいて互いに自己紹介をすることで、より適切に相手を知ることができる仕組みだ。参加者はこの結果について、あてはまっているか否かを投票できる。
その他、上述の音声入力機能に、投票機能を組み合わせることでブレインストーミングを促すアプリケーションも用意している。音声を伴う自動ファシリテーション機能を備えるため、司会進行役が不在でもさまざまな人が参加してアイデアを出せる。
今回提供を開始するのは3プラン。60分間の「チームビルディング体験コース」はアイスブレイクやブレインストーミングのアプリケーションによって相互のコミュニケーション傾向や思考の理解をサポートする。180分間の「チームビルディング実践コース」は自身のパーソナリティを開示しながらさらなる相互理解を促し、「新規事業アイデア創発支援コース」はアイデア創出から合意形成までの一連の流れを3日間かけて支援する。
なお、室内でのふるまいはセンシングされ、リラックスしている状態や緊張している状態などが可視化される。チームごとに発話量やボディランゲージの度合いなどを可視化してフィードバックすることで、より良い会議体験の創出を図るという。