インターネットイニシアティブ(IIJ)は11月21日、ネットワーク社会の根幹を支えるIT人材を増やしていくことを目的に、ネットワーク技術とソフトウェア開発技術に精通したエンジニアを育成する教育プログラム「IIJアカデミー」を開設すると発表した。

  • IIJはネットワークエンジニアを育成する教育プログラム「IIJアカデミー」を開設すると発表した

    IIJはネットワークエンジニアを育成する教育プログラム「IIJアカデミー」を開設すると発表した

同プログラムは、リスキリング・リカレントとして学び直したい社会人、ネットワークをはじめとするITエンジニアを目指す学生などを対象に実施する(ともに18歳以上)。インターネット事業者ならではの設備に触れながら技術を習得できる。実習期間は12週間で、受講料は1実習期間あたり20万円(学生は10万円)。2023年1月より受講者の募集開始する。当面は定員を20~30名とし、マンツーマン方式の指導で受講者個々のレベルに合わせて成長を支援する考えだ。

  • IIJアカデミー 概要

    IIJアカデミーの概要

IIJアカデミーの代表者を兼務するIIJ代表取締役会長 Co-CEOの鈴木幸一氏は「今後もデジタル化は進み、ネットワークは社会生活や企業活動においてますます重要となり、トラブルや停止の許されないものになっていく。『大学のネットワークを自分たちで作る』ような昔のエンジニアは減り、社会に出てはじめてネットワークに触るといったエンジニアが多くなってきている。過去30年の経験や技術を活用した社会的な教育の場を作りたい」と語った。

  • IIJ代表取締役会長 Co-CEOの鈴木幸一氏

    IIJ代表取締役会長 Co-CEOの鈴木幸一氏

同プログラムでは、IIJサービスの開発運用の現場で蓄積されたナレッジ・事例をもとに、ITエンジニアの実際の業務において有用な教育プログラムを実習形式中心で実施する。そして受講者個別の教育プログラムを、受講者との面談を通じて作成する。受講者の技術レベルや希望分野、克服したい分野などの要望をヒアリングした上で、事前に用意している実習課題項目から適切なものを3項目選択するという。

  • 受講者個人に合わせたカリキュラムを作成する

    受講者個人に合わせたカリキュラムを作成する

実習方法として、受講者は基本的に任意の時間で課題に取り組み、週4~5時間程度で講師が受講者の質問や相談に答える時間を設け、進捗確認やフォローを実施する。必要があれば、関連する技術についての講義を実施する。IIJが提供する物理的な部屋、コンピュータ資源、ネットワーク資源はすべて利用可能で、リモートからの作業も可能だ。同社のデータセンターでの実地作業を体験できる実習課題も計画中とのことだ。

  • 実習概要イメージ

    実習概要イメージ

課題項目の例としては「クラウドサービス(IaaS)を作ってみる」というものがある。クラウドを自前で構築することによってクラウドのアーキテクチャの理解を深め、仮想化技術の応用を実践することを目指す課題だ。

  • 課題項目:「クラウドサービス(IaaS)を作ってみる」

    課題項目:「クラウドサービス(IaaS)を作ってみる」

具体的には、国内2カ所のデータセンターにある、イーサネットスイッチを10数台、物理サーバ40台程度、ストレージ装置、データセンター間を接続するネットワークを提供し、クラウドサービスを構築してもらう。

IIJアカデミーの統括責任者を兼務するIIJ 技術顧問の久島広幸氏は「クラウドの実装においては、サーバとネットワークの仮想化技術を抜きには語れない。いまや当たり前のコンピューティング環境となったクラウドが、実際にどのような形で構築されているのかを理解する必要がある」と、同課題のコンセプトを説明した。

  • IIJ 技術顧問 久島広幸氏

    IIJ 技術顧問 久島広幸氏

IIJは今後、将来的には受講定員の拡大やカリキュラムテーマの多角的拡充など、さらなる充実化を図っていく。「IIJは、世界で最もネットワークエンジニアの数が多く、運用力に関しても世界トップクラスであると自負している。社会的な使命としてネットワークに関する技術者を育成していきたい」(鈴木氏)