ヴイエムウェアは11月15日・16日、年次イベント「VMware Explore 2022 Japan」を会場とオンラインのハイブリッド形式で開催した。基調講演の会場には多くの人が詰めかけ、立ち見が出るほどだった。

General Sessionでは、米VMware CEO(最高経営責任者)のラグー・ラグラム氏とCTO(最高技術責任者)のキット・コルバート氏が登壇し、クラウドファーストからクラウドスマートなアプローチという観点から講演を行った。本稿では、両氏の講演のポイントをお届けする。

目指すは「クラウドスマート」への進化

ラグラム氏は、「企業は今、デジタルスマート化への競争に挑んでいるが、ここ10年で新しい問題が出てきた。何が問題となって、企業は先に進めていないのか」と疑問を投げかけ、デジタル変革を阻んでいる問題を3つ挙げた。

  • 米VMware CEO(最高経営責任者) ラグー・ラグラム氏

ラグラム氏がいうデジタル変革を阻んでいる問題とは、「開発者のスキル不足」「エンタープライズアプリケーションの比重の大きさ」「運用とセキュリティの断片化」だ。

「開発者のスキルが不足していると、既存のアプリからクラウドネイティブなアプリに移行できない。エンタープライズアプリにはモダナイズできないという問題があり、クラウドにおいては運用とセキュリティが細分化している」(ラグラム氏)

これらの課題を解決するために、大規模なリプラットフォームが必要となり、そこでカギとなるテクノロジーがクラウドだ。ラグラム氏は、企業がオンプレミスのシステムをクラウドに移行するステップを「クラウドファースト」「クラウドカオス」「クラウドスマート」の3段階に分けてみせた。

同社が行った調査では、「クラウドカオス」の状態にある企業が多いことがわかったという。クラウドカオスにおいてはサイロ化したクラウドインフラが、クラウドスマートでは一貫性のあるエンタープライズインフラに進化するとしている。

  • 「クラウドカオス」から「クラウドスマート」への進化

ラグラム氏は「クラウドスマート」まで早く行き着く方法として、「どこでアプリケーションを動かすかを決めるべきだが、その際、プライベートクラウドか、パブリッククラウドかを問う必要はない。エンタープライズアプリケーションか、クラウドネイティブアプリケーションかを問うべき」と語った。

マルチクラウド管理ポートフォリオ「VMware Aria」が機能拡張

ラグラム氏は、クラウドスマートを実現する製品群として、米国で開催された年次イベント「VMware Explore 2022」で発表された製品を紹介した。

マルチクラウドの推進を標榜する同社にとって、マイルストーンともいえるソリューションが、マルチクラウド管理ポートフォリオ「VMware Aria」だ。「VMware Aria」は、インフラとクラウドネイティブアプリのコスト、パフォーマンス、構成、デリバリーを管理するためのソリューションを提供する。

11月15日、VMware Aria Graphを搭載した「VMware Aria Hub」の無料サービスの初期限定提供(Initial Availability)が発表された。VMware Aria Graphは、マルチクラウド環境の複雑性を把握するグラフベースのデータストア技術だ。同サービスでは、AWSまたはAzureの最大2つのアカウントから、リソースをリストアップ・マッピング・フィルタリング・検索できる。

あわせて、VMware Aria Migrationベータ版の提供も発表された。同サービスはVMware Exploreでテックプレビューとして発表され、、VMware Aria HubおよびVMware Aria Graphを用いて評価・計画・実行を自動化し、マルチクラウドへの移行を簡素化する。