今や、どの企業にもとってもデータ活用は欠かせない取り組みである。11月10日、11日に開催された「TECH+ EXPO 2022 Winter for データ活用 戦略的な意思決定を導く」では、具体的な事例を交えて、さまざまな企業の取り組みが示された。

村田製作所 IoT事業推進部 プロジェクトマネージャーの津守宏晃氏が登壇した講演「データビジネスから学んだこと」では、自身の海外体験を交え、国境を越えてデータを扱う難しさや、実際にサービスが稼働し始めてから分かったこと、サービスの付加価値を高める方法などについて語られた。本稿では、その内容をダイジェストでお届けする。

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海外で立ち上げたデータ取得・販売サービス

津守氏は、村田製作所においてデータ販売の事業を展開することを10年以上前から模索してきた。その中で、東南アジアにおける屋外のデータを取得することに着目し、2022年、交通量データの取得と販売を行うビジネスをインドネシアで立ち上げた。欧米をはじめ、世界的に「データ越境(国境を超えたデータ利用)」を規制する方向に進んできていることもあり、国内でデータを安全に保有し、越境させずに提供することを目指して取り組んだという。同社がシステムやサービスをリモートで提供できるようにした上で、現地の企業がサービス提供するという体制を整えた。

  • 村田製作所の東南アジアにおける事業スキームのイメージ図

このデータ販売事業は、同社とインターネットイニシアティブ(以下、IIJ)との協業によって行われている。協業の決め手となったのは、「現地の企業とタイアップし、現地のデータセンターを活用する」というIIJの戦略が、「データをいったん現地に保管してそこからサービスを行う」という村田製作所の方針と合致したことだという。この協業によって村田製作所の持つデバイスのグローバル展開力や技術開発力、IIJの持つ現地クラウド事業の展開力やサービスの運用、セキュリティの対応といった「お互いの強み」を活かせるようになったと津守氏は語る。現在は村田製作所の取得した交通量のデータをIIJのプラットフォームに流すかたちになっているが、津守氏は今後プラットフォーム構築を見据えている。

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