芝浦工業大学(芝浦工大)と静岡産業大学(静産大)は11月15日、筋力を向上させるためにはトレーニング量が重要であり、特にトレーニングによる筋力向上度合いが相対的に小さい人たちにとって、そのことが顕著であることを発見したと発表した。
同成果は、芝浦工大 システム理工学部の赤木亮太教授、静産大 スポーツ科学部の江間諒一准教授の共同研究チームによるもの。詳細は、細胞内から生物全体までの生理学や環境との相互作用などを扱う学術誌「Frontiers in Physiology」に掲載された。
トレーニングやリハビリテーションなどの運動プログラムの内容は、目的に応じて、効果的な影響を与える要因の特定や分析に基づいて設計される必要がある。たとえば筋力を大きく向上させるためには、高強度のトレーニングが重要と考えられているほか、最近の研究から筋力の増強にはトレーニング強度だけではなく、トレーニング量が重要であることが示唆されるようになってきたという。
そこで研究チームは今回、トレーニング量と、トレーニングによる筋力の向上度合いによる個人差を調べることにしたという。
具体的には、運動習慣のない26名の健康な被験者が、ヒザ関節伸展を行う群と股関節屈曲を行う群に分かれ、等尺性トレーニングが4週間にわたって実施された。トレーニングは週3回行われ、20秒に1回の割合で3秒間の収縮運動を10回、合計4セットで構成。トレーニングにおいて参加者は、できるだけ速く、強く、最大限の力を発揮するようにしたとする。
また、各セッションにおけるトレーニング量は、「40回の収縮の時間-トルク曲線」の下の面積を計算することによって算出。トレーニングの前後において、最大随意筋収縮(MVC)トルク(トルクのピーク値)が計測され、ヒザ関節伸展トレーニングと股関節屈曲トレーニングを行った群、それぞれの筋力の変化が評価された。