onsemiは、独Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)が戦略的提携の一環として、トラクションインバータにonsemiのSiC技術を採用したことを発表した。
onsemiのVE-Trac SiCモジュールを活用することで、メルセデスのEVコンセプトカー「VISION EQXX」のトラクションインバータの効率が向上し、重量の軽減と併せて航続距離が最大10%延長されるという。VISION EQXXは、独シュトゥットガルトから英シルバーストーンまでの1202km(747マイル)を1回の充電で走破するなど、高い電力対走行性能を実現している。
具体的には、100km(62マイル)走行あたりのエネルギー消費量を10kWh以下に抑えているという。これは、基準となる抗力係数が0.17、軽量設計、転がり抵抗の低減、および同等のバッテリーよりも50%の省スペース(および30%の軽量化)で100kWhを貯蔵するバッテリーを使用して達成したものであり、この航続距離の延伸の鍵を握るのが、トラクションバッテリーに蓄えられたエネルギーの95%を車輪に伝達する電気システムであり、30%程度しか伝達できない内燃機関(ICE)車から改善されたとしている。
onsemiは、多量SiCブール成長、基板、エピタキシーからデバイス製造、統合モジュール、ディスクリートパッケージ・ソリューションに至るエンドツーエンド供給能力を有する、SiCソリューションの大手サプライヤで、こうした一気通貫した取り組みにより、競合他社よりも省フットプリントかつ高放熱で高出力を可能とし、パワーモジュールの重量とコストの削減を顧客に提供することを可能としていると説明している。