帝国データバンクは11月17日、インフレ手当に関する企業の実態アンケートの調査結果を発表した。
物価高騰による実質賃金の減少などを踏まえ、 連合(日本労働組合総連合会)は2023年の春季労使交渉で、 28年ぶりの高水準となる5%の賃上げを求める方針を固めた。経団連は2023年の春闘に臨むにあたり、 物価動向を最重視して、 手当や賞与、 一時金などを含めた賃上げを呼びかけることを表明している。こうした状況の下、企業の実態はどうなっているのだろうか。
同社の調査の結果、物価高騰をきっかけとして、従業員に特別手当(インフレ手当)を「支給した」企業は全体の6.6%であることがわかった。 また「支給を予定」は5.7%、 「支給を検討中」は14.1%となり、 全体の4社に1社(26.4%)がインフレ手当に取り組んでいるという。 他方、 「支給する予定はない」は63.7%に上る。
インフレ手当のうち、 「一時金」の支給額(予定・検討中含む)の内訳をみると、 「1万円~3万円未満」が27.9%で最も多く、 平均支給額は約5万3,700円となった。 「月額手当」(同)は、 「3000円~5000円未満」と「5000円~1万円未満」が30.3%で最も多く、 平均支給額は約6,500円とのこと。
支給する予定がない企業からは、 「インフレで会社の営業収支が悪化しており、 まずはそちらの対策が優先と考えている」(建築工事)、 企業の仕入れコストが上昇傾向にあるなかで自社業績が悪化し、 従業員へ金銭的な補填をする余裕がないとの声も聞かれているという。