NICEの日本法人ナイスジャパンは11月16日、クラウド型のコンタクトセンター向けプラットフォーム「CXone」に搭載している2つの機能「CXone Smart Assist」「CXone Guide」について記者説明会を開催した。

NICEが提供するCXoneは、ユーザーからの複数のチャネルでの問い合わせに対応可能なコンタクトセンター機能や電話回線サービスをオールインワンで提供している、クラウド型のコンタクトセンターサービスだ。

同サービスは専用の機器を不要としており、インターネットに接続するPC端末があれば利用を開始できるため、在宅勤務やリモートワーク環境でもオペレーターはコンタクトセンター業務に従事できる。なお、同サービスのクラウド基盤は国内にあるという。

  • CXoneが持つ主な機能

    CXoneが持つ主な機能

CXone Smart AssistはAI(Artificial Intelligence:人工知能)を搭載したバーチャルエージェントだ。IVR(Interactive Voice Response:自動音声応答システム)のような従来のコンタクトセンターの課題解決に寄与するソリューションだ。

IVRとは事前に設定した項目に基づいて顧客の電話対応を行うシステム。コールセンターに問い合わせをした際に、電話の目的や内容に応じて割り振られた数字をプッシュトーンから選択し、最終的に目的のオペレーターに接続する仕組みだ。

IVRによる顧客対応には、業務や対応の幅が多様な場合にプッシュするまでのガイダンスが長くなったり、複数回プッシュ選択する必要があるために対応時間全体が長くなったりする課題がある。また、間違った数字をプッシュしてしまった場合に、前の項目に戻れず結果的に顧客満足度が低下する要因にもなる。

音声認識エンジンを搭載したIVRも登場しているが、問い合わせ者の話し方によっては正しく認識されず、結果的に従来のIVRのプッシュ選択になってしまう課題があるという。また、音声認識IVRの場合も結果的にはオペレーターに接続するため、工数削減には直結しない問題もあるようだ。

  • IVRによる問い合わせ対応の例

    IVRによる問い合わせ対応の例

これに対しCXone Smart Assistでは、AIを搭載したバーチャルエージェントとの対話のみで対応が完結する。バーチャルエージェントは問い合わせの内容や処理の依頼をシステム連携により自動的に処理可能だ。

カードの解約についての電話対応の場合、単にカード番号を聞き取るだけではなく、他のシステムとの連携によってポイント残高やETCカード機能の有無などを確認しながらバーチャルエージェントが対応を進めて処理まで完結できる点が特徴だ。電話対応後には対応内容をSMS(ショートメッセージサービス)で送信するので、問い合わせ者も安心して処理を確認できる。

CXone Smart Assistによる問い合わせ対応

ナイスジャパンによると、銀行やクレジットカード会社の他にも、小売店の商品の問い合わせや飲食店の予約対応、注文商品の配達状況確認、保険の契約変更など、幅広いユースケースを想定しているそうだ。無人のコンタクトセンターにも挑戦できるとしている。

  • CXone Smart Assistの想定ユースケース

    CXone Smart Assistの想定ユースケース

CXone GuideはEC(Electronic Commerce:電子商取引)サイトをはじめWebサイトでの顧客体験向上を目的とするサービスだ。サイト上での困りごとに対し、解決策をリアルタイムで提供する。問い合わせ者がFAQ(よくある問い合わせ)ページを探したり、カスタマーサポートに電話したりする手間を省略できるようになると期待できる。

  • CXone Guideのサービス概要

    CXone Guideのサービス概要

ECサイトの場合、FAQページやチャットボットによるサポートがあったとしても、その場で問題を解決できない場合は、問い合わせ者が購入をやめてしまうリスクが高まる。CXone Guideによって、問い合わせ者が問題を自己解決できるようになると、コンバージョン率の向上が見込めるのだという。

  • ECサイトではリアルタイムなサポートが重要となる

    ECサイトではリアルタイムなサポートが重要となる

例として、ECサイトにログインする際にパスワードを2回誤ったら、利用者がログインに困っていることを検知して、パスワードのリセットを促すガイドメッセージを提示するとしよう。CXone Guideでは、既存のWebサイトの改修を行わずに、CSSにタグを埋め込むだけでこのサービスを利用できるとのことだ。また、ガイドメッセージを表示する曜日や時間帯なども任意に設定可能。

  • CXone Guideによるサポート例
  • CXone Guideによるサポート例

    CXone Guideによるサポート例

ナイスジャパン社長の安藤竜一氏は「私が2年前に社長に就任して以来、サービスのクラウド化に尽力してきた。2021年10月にはCXoneを発表し、今年はまさにCXone元年として活動を続けてきた。CXone Smart Assistに搭載しているAIの機能には特に自信があるので、期待していてほしい」とコメントしていた。

  • ナイスジャパン 社長 安藤竜一氏

    ナイスジャパン 社長 安藤竜一氏