東芝デジタルソリューションズは11月14日、東芝アナリティクスAI「SATLYS(サトリス)」の新商品として、映像解析の学習済みAIモデル「SATLYS 映像解析AI」の提供開始したことを発表した。
近年、ビルや店舗、工場、公共施設や交通機関など、さまざまな場所に防犯カメラや監視カメラが数多く設置されるようになり、人々の暮らしを見守り、またビジネスの効率化やマーケティングの深耕にも寄与している。しかし、カメラの設置数が増えて映像データが膨大になるにつれ、それを目視で確認し解析するには大きな負担がかかるようになってきており、目視による解析の負担を軽減することを目的に、AIによる映像解析の導入が始まっている。
今回商品化された「SATLYS映像解析AI」は、人物や物体の検出および追跡、骨格推定などの学習済み映像解析AIモデルがクラウドサービス(クラウドAPI)やオンプレミス用SDK(ソフトウェア開発キット)で提供される。
同社で検証されたAIモデルを使用することにより、新たなAIモデルの開発が不要となり、AIによる映像解析機能をアプリケーションにタイムリーに組み込むことが可能だという。また、AIモデルがカメラに依存しないため、既設カメラの映像を活用できる点も特徴だとする。「SATLYS映像解析AI」のAIモデルの特長は以下の通り。
人物/物体検出・追跡
映像内の人物や物体を検出し、対象物(人、自転車、車など)ごとに追跡を行えるという。また、学習により新規の物体を検出・追跡させることも可能としている。
骨格推定
人物の関節点と顔の特徴点を推論する機能を有する。推論を基に骨格を認識し、姿勢(体の向き)や視線(顔の向き)の推定も行える。
顔認識
顔領域検出、顔認証、顔向きを推論し、個人を高精度で認識するという。たとえば本人認証システムでの利用では、1人1枚の顔画像を登録するだけで、さまざまな顔の向き、暗いシーン、経年による顔の変化などにも対応し、個人を高速・高精度に認識できるという。
カメラ間追跡
別々の場所で撮影された複数の映像から、人物の服装や持ち物の特徴を用いて同一人物を認識可能。
群衆密度推定
映像内の人数を高速にカウントができ、多数の人物(群衆)が映っている映像で人数をカウントする用途に適しているとする。
行動認識
学習済みの定義された行動(「人が立っている」、「人が歩いている」)とは異なる行動(「転倒している」、「しゃがんでいる」など)を検知するという。
また、各AIモデルを単体または組み合わせてアプリケーションとして活用することで、さまざまなユースケースが可能になるという。たとえば、「施設ののぞき込み」、「特定の場所での徘徊」、「危険物(刃物など)の所持」といった、不審または不自然な行動をする人物を検知することが可能になるとする。そのほかにも、ショッピングモールのような大規模施設内で迷子になっている子どもの探索、駅構内で倒れている人の検知、展示会ホールや野外イベントの密集度から混雑状況の推定などが挙げられている。
なお、同社は、今後も「SATLYS 映像解析AI」のAIモデル強化とラインアップ拡充を通じ、社会インフラの安心・安全やビジネスの進化・発展に貢献していくとしている。