米Dropboxの日本法人であるDropbox Japanは11月16日、記者会見を開き、2023年のビジネス戦略を発表するとともに、同日より提供を開始した新製品「Dropbox Capture」についての説明を行った。
無駄な会議を減らす「Dropbox Capture」
提供を開始したDropbox Captureは、スクリーンショットやGIFを活用しながら、画面を直接録画した動画メッセージを作成できるサービス。会議やチャット、メールでの業務連絡の代わりに活用することで、文字では説明しにくかった確認事項や、働く時間や場所が違う同僚との電話会議の代わりに動画メッセージを送れる。
トリミングや矢印、説明文、ぼかしの追加などの加工も可能で、画面上にマーカー線を引くことができる。カメラとマイクを使うことで、話者の顔が画面上に表示され、声も反映される。また録画した音声は自動的に文字起こしされるため、目的の再生箇所にすぐに移動することができる。
さらに撮影時のやり直しや一時停止、不要部分の削除といった編集も可能。視聴者は再生位置にコメントしたり、絵文字でフィードバックを送信したりできる。
「ビデオ通話や会議が多すぎることは、リモートワークの生産性を妨げる要因となり得る。短時間の動画メッセージを活用することで非同期的なコミュニケーションが可能になり、無駄な会議時間を生産的な作業時間に置き換えられる。また、文章による説明だと伝わりづらい内容も動画だと直感的に伝えられる」と、アジア太平洋・日本地域総括ソリューション本部長の岡崎隆之氏は説明した。
Dropbox Captureは、各Dropboxプランの中で利用でき、無償である「Basic」、「Plus」、「Family」の各プランでは、1080pで最大2時間の録画と5分以下の動画の編集が可能。有償の「Professional」、「Standard」、「Advanced」、「Enterprise」の各プランでは、動画をストレージの上限まで4Kで録画できるほか、あらゆる長さの動画メッセージを編集できる。
Dropbox Captureを先行導入した鴻池組では、動画で業務順書を作成。解説者画面と資料を1つの画面で録画することにより、業務順書のわかりやすさを向上し、作成工数を削減したという。
共有した動画を分析できる「Dropbox DocSend」
記者会見では、添付ファイルを安全なDocSendリンクに置き換える「Dropbox DocSend」の機能アップデートについての説明も行われた。今回、動画の分析機能がアップデートされ、再生の完了率、視聴時間やジオタギング(位置情報を示すメタデータ)などの情報が得られるようになった。
「視聴者が動画にどのように反応しているかが分かり、ビジネス上の意思決定やフォローアップの優先順位付けに役立てることができる」(岡崎氏)とのことだ。
また、有償プランであるStandard、Advanced、EnterpriseのDropbox DocSendユーザーは、エンゲージメントグラフ、パフォーマンスグラフ、動画エンゲージメント設定など高度な動画分析が利用できる。なお同製品は、英語版での提供となる。
さらに同社は2022年中にDropbox CaptureをDropbox DocSendに組み込む予定。これにより、動画メッセージの録画や送付、分析がすべてDropbox上で行えるようになる。
Dropboxの今後の戦略
現在、Dropbox上に保存されているコンテンツの数は約8000億、有料ユーザー数は1755万を超える。また、Dropboxを仕事で使っているユーザーの割合は約80%という。
今後は、ISMAPや電子帳簿保存法に対応し、製品ポートフォリオの拡張を加速させていく方針。加えて、企業内検索システムや脱PPAPシステムなど他社ソリューションとの連携を強化していく。
代表取締役社長の梅田成二氏は「スマートな働き方を創造するために、ドキュメントワークフローを強化する製品群を投入していく。また他社ソリューションとの連携を進め、さまざまな現場での活用を促進していきたい」と語った。