キャラクターやアーティストなどのIP(知的財産)コンテンツを活用し、メーカーや流通・外食チェーン企業の商品やサービスの各種プロモーションや物販支援など、さまざまなマーケティングサービスを展開するレッグス。
2020年1月から社内のデジタル化に着手し始め、新たな収益モデル構築を検討する中で、既存事業で蓄積されたデータに目を付けた。しかし、データガバナンスもなく、Excelベースで属人的にデータが管理されていたため、まずはデータクレンジング(データ整備)に着手する必要があった。
レッグスの事業推進者および親会社であるCLホールディングスのDX担当者に、データ整備で苦労したことやデータ活用の取り組みを聞いた。
自社ソリューション開発に向けてデータ活用開始
データ整備に取り組むまで、レッグスのデータ管理は縦割りで属人的であった。基幹システムはあるものの、共有サーバを社内に設置して、基本的には部署ごとに各種業務データを運用していたからだ。
加えて、データの更新タイミングがまちまちだったり、一部のデータを個人が保有していたりしていたため、自社のデータの全容を把握できている人が1人もいなかったという。
データ整備プロジェクトの推進役の1人であるレッグス リテールマーケティング本部 副本部長の二階堂美晴氏は、「組織ごとに、既存案件の最適化のためにオリジナル業務や各種フォーマットを作ったり、他部門からは理解できないデータを作成したりすることは珍しくなく、事業部ごとにデータ管理のガラパゴス化が進んでしまっていた」と述べた。
Excelで管理していたデータも元はシンプルなものだったが、関数を使って複数のファイルが連携していった結果、「事業運営に必要な数字は見えているものの実態がつかめない、『Excelおばけ』ができあがっていた」そうだ。
2019年に流通や食品関連の企業への出向から戻った二階堂氏は、社外の先進的な取り組みに触れてきた経験を買われ、バリューチェーンの統合管理に向けた業務システムの検討導入など社内のデジタル化推進に携わってきた。
2020年には、グループ会社も含めて本格的にDXを進めるべくDX戦略本部が立ち上がった。二階堂氏は同部にもプロジェクト関与し、現在は事業部門や管理部門と協働でデータ活用の取り組みを推進している。
「幸いなことに右肩上がりの業績が続き、既存のやり方で大きな問題がなかったため、『データ管理を見直そう』という動きが起きにくかった。一方、大手企業でもExcelは利用されているものの、データ活用に向けて早くから取り組んでいた。当社は、私が入社した2002年から変わらずに、担当者が個人や部署にあるデータを参照しながら経験と勘に頼っているところが大きく、データを活用できていなかったことに課題を感じた」(二階堂氏)
現在、データを活用した具体的な自社ソリューションとして、レッグスでは「IPコンテンツのトレンド・需要予測モデル」を構想中だ。
同社では2016年頃から、自社で商品を企画・開発製造し、流通企業に卸す「見込み物販」サービスを開始している。同サービスに需要予測モデルを活用するほか、将来的には同モデルを軸とした社外との取り組みの検討も始めている。