昨年にパートナーエコシステムの形成に10億ドルの投資を明らかにし、エコシステムに注力するIBM。昨今ではハイブリッド/マルチクラウドにより、企業は1社単体の製品のみの利用ではなく、複数ベンダーの製品を利用することが当たり前になりつつあり、IBMのみならず多くの企業でエコシステムの形成に身骨を砕いている。
本稿では、今年1月に同社の米IBMでエコシステム・ゼネラル・マネージャーに就任したKate Woolley(ケイト・ウーリー)氏と日本IBM 常務執行役員 テクノロジー事業本部 副本部長兼パートナー・アライアンス事業本部長の朝海孝氏に、これからのエコシステムについて話を聞いた。
直販から協業・協調型に変化したIBM
--まず、改めてパートナーエコシステムの重要性について教えてください。また、IBMとしての“パートナーエコシステム”とはどのようなものでしょうか?
ウーリー氏(以下、敬称略):IBMにおけるエコシステムの定義として、ディストリビューターやリセラー、システムインテグレーター、ISV(Independent Software Vendor)などのビジネスパートナーに加え、ハイパースケーラーやソフトウェアベンダーといった戦略的パートナー、技術パートナーもエコシステムの範囲に含まれます。
なぜ、いまエコシステムなのかと言えば、シングルベンダーとともに、お客さまにどのようにアプローチして共創するのか、ということが重要になっています。
そのため、シングルベンダーとのビジネス上の付き合いというわけでなく、エコシステム内でのパートナーという位置づけです。当社は戦略としてエコシステムの重要性を再認識し、フォーカスするとともに投資を行うなど、エコシステムを優先事項の1つとして判断しました。