矢野経済研究所は11月15日、国内のコールセンターサービス市場およびコンタクトセンターソリューション市場を調査し、サービス別の動向や参入企業動向、将来展望を公開した。
2021年度の国内コールセンターサービス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比8.0%増の1兆1,259億円で、コロナ禍を背景としたスポット案件(公共分野/官公庁案件)の発生が市場規模を大きく押し上げた。また、民間企業においても労働力不足を背景としたコールセンターのアウトソーシングニーズは引き続き拡大するとともに、コロナ禍で非対面/非接触コミュニケーションチャネルとして重要視されるようになったことも市場拡大に寄与したという。
2021年度の国内コンタクトセンターソリューション市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比1.9%増の4,271億円。同年度もコロナ禍で経済活動が制限された中であったが、市場全体としては順調に伸長。その要因のひとつに、クラウド型コンタクトセンターサービスが急拡大したことを挙げた。2021年度は従来からのクラウド型コンタクトセンター専業ベンダーに加え、主要なプラットフォームベンダーもクラウド型サービスに注力し始めたという。
コロナ禍を契機に、デジタルシフトやDX、CXを目指す企業が増加し、顧客の生の声を拾うことができるとしてコールセンター/コンタクトセンターの重要性が増しているという。その役割がコスト削減から顧客との重要なタッチポイントへと移行しつつあるということだ。
将来展望としては、コールセンターサービス市場の2022年度上期までは官公庁関連のスポット案件が続いているが、下期は落ち着くとみており、2023年度以降の市場規模は、揺り戻しが発生すると矢野経済研究所は予測。コンタクトセンターソリューション市場は、2022年度以降に関してもコロナ禍で、企業が非接触顧客窓口であるコンタクトセンターの重要性を強く認識しているため、コンタクトセンターに対する投資は引き続き堅調に実行されていくと予測した。
クラウド型コンタクトセンター比率の高まりは単価低下を招くが、これまで利用の少なかった中小企業への普及が期待されることや、webチャネルとコールセンターを融合させた新たな顧客サポート体制の強化を目的としたシステム整備も進んでいくと予想。非対面における顧客との接点としてコンタクトセンターに求められる役割が大きくなり、今後も堅調に推移していくものと予測している。