シリコンバレーに拠点を置くチップレットインターコネクトの新興企業であるEliyanは、Tracker Capital Managementが主導する形で、Intelの投資子会社であるIntel CapitalやMicron Technologyの投資子会社であるMicron Venturesなど4つの投資機関より、4000万ドルのシリーズA資金調達を行ったことを発表した。
Eliyanは、Ramin Fajadrad、Syrus Ziai、Patrick Soheiliの3氏によって2021年に設立されたスタートアップで、Farjadrad氏は以前、MarvellにてCTOおよびVPを務め、ネットワーキングおよび自動車部門を率いていた。Ziai氏は以前、QualcommのエンジニアリングVPを務めていた。Soheili氏は以前、OracleのVPやQualcommのPMIC開発責任者を務めており、いずれも半導体技術のベテランであり、今回、チップレットに目をつけて起業した。
「NuLink」と名付けられた同社の技術は、標準のSiP(システムインパッケージ)技術を使用してチップレットを接続し、高度なパッケージング方法に基づく内部接続方法と比較して、2倍の帯域幅と半分以下の消費電力レベルを達成したという。ハイパースケーラー、データセンタークラウドコンピューティング、AI、グラフィックス市場をターゲットにしており、標準的なチップパッケージング方法は、より高度なパッケージング方法と比較して時間とコストを節約できると主張している。
また、High Bandwidth Memory(HBM)プロトコルに加え、Intel主導のUniversal Chiplet Interconnect Standard(UCIe)と互換性があるともしており、すでに同社では、TSMCの5nmプロセスを使用して相互接続の開発に成功したとも主張している。
ただし、製品の販売自体はまだ開始してはおらず、2023年第2四半期ごろに最初の製品を市場に投入する予定だという。
Farjadrad氏は、「Eliyanの技術により、プロセッサーのパフォーマンスとパワーを拡張して製造することができるようになる。世界は常により多くのコンピューティングパワーを必要としており、Eliyanは、あらゆる種類のHPCアプリケーションのスケーリング(微細化)を確実に行えるようにする」と述べている。
チップレット技術が注目されるにつれて、UCIeの重要性が増している。Eliyanへの今回のIntelやMicronによる投資は、TSMC、Samsung、AMDなどの業界リーダーと共にUCIeコンソーシアムを立ち上げ、チップレットの業界標準を構築するという取り組みの一環だと考えられる。