花王は11月10日、B&Rおよび京都製作所と協働して、フローティングリニア技術を駆使し、商品を顧客の要望に合わせてデザインできる加飾成形技術と、効率的な少量多品種生産が可能なダイナミックセル生産技術を開発したことを発表した。これまでにない新たな生産システムを構築し、2023年中に稼働する予定だという。

フローティングリニア技術とは、磁力による反発力または吸引力を制御するプログラミングにより、永久磁石を内蔵した物体を浮遊させ、自在な動作が可能となるリニア搬送システムで、高速・高精度で複雑な搬送を実現する。

今般構築されたシステムは、フローティングリニアの自在かつ高精度に部材を移動・回転・傾斜させる6次元の動作を活用した加飾成形技術。これにより、化粧品をはじめ、顧客一人ひとりのニーズに対応できる、これまでにない価値ある商品やサービスの提供が可能となり、パーソナライズなマーケティングへの転換を加速することが可能になるという。

花王 Decoration Processing Technology 新たな加飾成形技術によるパーソナライズ商品の提案へ

さらに、フローティングリニアの自由度の高い搬送技術により、柔軟で迅速な品種の切り替えが可能となり、また充填方法や加工速度が異なる品種を同時に一つのラインに投入して、生産速度に応じて加工の順序を動的に変更するなど、複雑な同時多品種生産を実現することができるようになるという。

今後は、AIの導入や前後工程をデジタルで接続、連携させるなど、スマート化を推し進めることにより大幅な機能拡張が期待でき、積極的な最先端技術の活用とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、柔軟で効率的な生産を実現することで、サステナブルなサプライチェーンの実現をめざしていきたい考え。