パソナグループは11月11日、日本、アメリカ、カナダ、香港、韓国、台湾、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシア、インドの12カ国・地域にある日系企業を対象に実施した「大離職時代の企業活動への影響に関する調査」の結果を発表した。
コロナ禍で従業員の仕事に対する価値観などが変化したかという質問に対しては、全体の79%が「変化した」と回答し、従業員が具体的に変化を感じている項目についての質問では、「勤務形態に対する要望」という回答が84%に上った。同社はこの回答について、コロナ禍を経て在宅勤務が普及したことなどが大きく影響しているとの見方を示している。
コロナ禍前後における従業員の仕事に対する価値観や会社への要望・期待などの変化が、企業業績に影響を及ぼすかという質問には、「プラスの影響」が26%、「マイナスの影響」が29%という結果に。
国別ではタイで「マイナスの影響」が51%と突出する結果となっており、これは、従来盛んだった観光産業がコロナ禍で不振となったことで、従業員の企業からの自立に向けた意識、ひいては企業への帰属意識に影響を与えており、各企業で業績にも悪影響を与えると見込んでいることが要因と考えられるという。
一方、全体の37%の企業は「(影響を及ぼすか)わからない」と回答しており、世界の経済活動がコロナ禍以前に完全には戻っていない中、従業員の変化が業績に影響を与えるかについて判断がつかない企業も多い現状にあることが分かったという。
また、コロナ前と直近を比較すると、全体の39%が「離職者が増加」したと回答しており、特に「増加」が多かったマレーシアの離職者が増加した原因について同社は、主に半導体業界をはじめとする慢性的な人材不足で企業の採用活動が活発化し、同時にコロナ禍におけるオンライン面接の普及が転職意欲を喚起しているからだとの見解を示している。
コロナ前と直近1年の離職理由の上位3つを聞いたところ、「働き方」を理由に離職するケースが上昇していることが分かったという。この理由としては、コロナ禍によってリモートワークや在宅勤務が普及し、場所にとらわれない働き方を求める従業員が増えたことが背景にあると指摘されている。
「大離職時代」に対する今後の対策を聞いたところ、「特に対策はしていない」という回答は9%のみとなり、多くの企業で現状の人材マネジメントに危機感を持ち、人材流動の活発化に備えて制度の見直しや就労環境の整備などを検討している様子が見てとれる結果に。
給与テーブルの見直し・昇給や、在宅勤務に向けた設備投資など、多くの企業で従業員の満足度向上に繋がる投資に意識が向いていることが判明しているという。