東京商工リサーチは11月10日、国税庁の適格請求書発行事業者(インボイス登録事業者)サイトの公表データを独自に分析した調査データを発表した。今回、発表されたデータは総務省の「経済センサス」の企業数を基に、10月末の登録率を算出したもの。

  • インボイス登録件数 月次推移 引用:東京商工リサーチ

国税庁によると、インボイス登録事業者のうち、2022年10月末で法人の登録数は113万6,185件と100万件を超えているという。総務省「平成28年経済センサス」に基づく法人数187万7,488件から見ると、その登録率は60.5%に達していることになる。

登録済みの113万6,185件を都道府県別にみると、トップは東京都の18万5,875件。これに、大阪府の9万6,616件、愛知県の7万678件、神奈川県の6万21件、埼玉県の5万1,541件、北海道の5万614件、福岡県の4万1,643件と続いており、大都市圏が上位を占めているという。

単月登録数では、10月は北海道が前月比65.6%増と急増し、大阪府が同45.8%増、京都府が同45.5%増、奈良県が同42.5%増なども前月から登録数を大幅に伸ばしているとのことだ。

登録数が最も少なかったのは鳥取県の4,733件。次いで、高知県の5,401件、佐賀県の5,666件、島根県の6,056件、徳島県の6,706件という結果になっている。

また、登録率は、大阪府が69.1%でトップだった。前月1位だった東京都は68.4%で2位に後退し、3位は山梨県の65.9%、4位は長野県の65.1%、5位は三重県の63.8%となっている。一方、登録率の最低は、長崎県の50.8%で、秋田県51.1%、佐賀県51.5%、徳島県52.7%、神奈川県の53.2%と続いている。

  • 法人の都道府県別インボイス登録率(2022年10月末時点) 引用:東京商工リサーチ

一方で、個人企業の登録は進んでいない実態が明らかになり、10月末の登録率は14.9%にとどまる結果に。個人企業は、売上高1,000万円以下で、納税義務が免除された免税事業者が多いこともあり、国税庁の2020年度統計年報の課税事業者数で登録率を試算しても、法人は55.4%、個人企業は26.8%で、全体でも44.7%と半数に届かないという結果になっている。免税事業者から課税事業者への移行も考えると、個人企業の登録の低調さが際立っている。

同社が8月1日~9日の期間に実施した企業アンケートでは、制度開始後は免税事業者と「取引しない」と回答した企業は9.8%で、半数近くが「未定」と回答していたという。同社は今後、「取引しない」回答は増える恐れもあるとの見方を示している。