資生堂は11月10日、新経営体制に関する記者会見を開催。2023年1月1日付で、現代表取締役社長CEOの魚谷雅彦氏が代表取締役会長CEOに、現常務の藤原憲太郎氏が社長COOに就任することを発表した。
同発表は、同日に行われた取締役会において決議されたもの。なお藤原氏については、2023年3月開催の定時株主総会における取締役選任決議、および取締役会を経て代表取締役に選任される予定だ。
海外支社トップを歴任した新社長・藤原憲太郎氏
新社長となる藤原氏は、1991年に資生堂に入社し、ヨーロッパでの物流センター所長や韓国資生堂の取締役社長などを歴任。本社での経営戦略部長を経て、現在は中国地域のCEOを務めている。
魚谷氏は藤原氏の選出理由について、資生堂が掲げる価値観への理解が深い点、長年海外事業に携わってきた点を挙げ、加えて求心力の強さや明るい性格なども魅力だとする。なお取締役会では、メンバー全員の一致により選出を決定したともしている。
魚谷氏は代表権を持つ会長CEOとして約2年間並走
魚谷氏は2014年、資生堂で初めて外部出身者として同社社長CEOに就任。以来8年以上にわたって社長を務め、2019年9月にはCEOを再任し2024年まで続投することを発表している。
魚谷氏は、CEOとしての任期が残り5年となった2019年当時から次世代への確実な継承を意識していたといい、またその引き継ぎについて「並走する期間があった方がいい」と、CEOとしての任期を2年ほど残した時点での社長退任を意識していたとのことだ。
また、次の社長については社内候補者からの選出を優先したといい、「私の考え方や社内の考え方に対してオーナーシップがあり、やる気や情熱を持つ人が就任する方が、会社の成功につながると考えた」と語る。そして魚谷氏は、継承にふさわしい人材育成にも注力してきたとする。
日本事業の強化からグローバル市場での好循環へ
魚谷氏と藤原氏は、2023年以降の約2年間にわたって協力して業務を行うといい「業務を明確に分担するのではなく、今と同じように何でも相談しながら進めていけるようにしていく」と魚谷氏は語る。
また藤原氏は、今後の注力分野として「日本国内事業の強化」を挙げた。日本企業である資生堂は国内での発信力が大きく、日本での事業や影響力を強化することが、アジアを筆頭とするグローバル市場にも好影響を与えることが理由だとしており、「さまざまな海外市場を見てきた経験を活用し、資生堂ジャパン社長の直川紀夫氏と協力して事業を展開していく」と話す。
さらに今後の社長としての目標として、藤原氏は「改革が必要なことを次世代に残さない」ことを挙げ、「挑戦と変化を続ける企業として、世界中の社員それぞれが能力をいかんなく発揮できる環境の構築を目指していく」と意気込みを語った。