メルカリ子会社で決済サービスを手がけるメルペイは11月8日、独自の与信を適用したクレジットカード「メルカード」の提供を開始すると発表した。
メルカリのクレカ「メルカード」の特徴は?
同クレジットカードはJCBブランドで発行し、年会費は無料。本人確認を完了しているユーザーであればフリマアプリの「メルカリ」から最短1分で申込みが完了し、最短4日後に受け取ることができる。
申込みだけでなく、利用時に「メルカリ」アプリから即時に支払い通知が受け取れ、利用履歴の確認も「メルカリ」アプリ内で完結できる。加えて、支払いの清算については、翌月1日から末日まで自由に支払い日が選択でき、「メルカリ」の売上金も利用可能だ。
カード決済に必要なカード番号や有効期限はクレジットカードには記載されておらず、アプリ上で確認できるようになっており、紛失や盗難など、万が一の際に第三者による利用を防げる。カードを紛失盗難してしまった場合でも、手元のアプリから即時に利用を停止・再開の操作を行うことができる。
また同社はメルカードの提供開始と併せ、同日よりメルカードや従来より提供している後払い決済サービス「メルペイスマート払い」の利用でポイントが付与される常時ポイント還元を導入すると発表した。
常時ポイント還元はメルカリグループとして初めての取り組みといい、ポイント還元率は「メルカリ」や「メルペイ」の利用実績などによって変動する。還元率は、購入や支払いだけが対象ではなく、売っても、買っても、お店で支払っても変化していく。買い物をすること、つまり消費をすることだけで還元率が変化するのではなく、不要品を売る、モノを他の誰かに譲り渡していくことでも還元率が変化する。「メルカリ」での購入については最大4%、店頭での利用については常時1%。さらに毎月8日は還元率が8%加算される。
ポイント還元率だけでなく、利用限度額についても、年齢や職業、年収などの属性情報の与信だけではなく、メルカリの利用実績を元にAIによって決まる。なお、利用限度額は「メルカード」および「メルペイスマート払い」合計で最大月50万円だ。
メルカリグループ日本事業責任者の青柳直樹氏は記者会見で、「独自の予信判断に活用することで、誰でも利用しやすいインクルーシブな金融サービスが提供できている。会員獲得や不正の対策に100億円単位の投資を継続しており、本人確認済みのユーザーとの関係は、私たちメルカリのフィンテック事業の最大の競争優位性だ」と説明した。
サステナブルな行動がお得につながる世界
メルカリは2013年7月にフリマアプリ「メルカリ」を開始し、サービス開始時から2022年10月までの累計で4800万人、流通総額3兆8000億円の規模にまで成長している。そして、2019年2月にスマホ決済サービス「メルペイ」の提供を開始し、コード決済、iD決済、バーチャルカードやネット決済でのオンライン決済などにより、「メルカリ」で得た売上金をさまざまな場所で利用できる環境を構築してきた。
同年、「メルカリ」アプリだけで本人確認ができる機能の提供を開始し、その後、マイナンバーカードでの本人確認機能を追加、現在では、本人確認を完了しているユーザーは1216万人まで拡大しているという。
今回発表したメルカードと常時ポイント還元の提供により、新品を購入してポイントを貯める、「メルカリ」で不要品を売って得た売上金と貯まったポイントで支払いの清算を行うなど、メルカリでの体験が広がる。
「消費だけでなはく『サステナブルな行動』がお得につながる、循環型社会を促進するそのような体験を提供していきたい」と、執行役員 CEO MarketplaceのJeff LeBeau氏は語った。
また同社は、2023年春にこれまで拡大してきたメルカリのエコシステムに暗号資産を加え、「メルカリ」アプリからビットコインを誰もが購入できる機能を提供する予定。メルカードと同様、本人確認済みのユーザーであれば、「メルカリ」アプリから最短1分で申込みが完了し、「メルカリ」で不要品を売って得た売上金を利用して「メルカリ」アプリ内から暗号資産を購入できるようになるという。
執行役員 CEO Fintechの山本真人氏は「モノやお金だけでなく、信用・NFTや暗号資産などあらゆる価値が循環するエコシステムを拡大していく。メルカリのエコシステムを通じてさまざまな価値が循環し、人々の買う・使う・捨てることに対する意識や行動が少しずつサステナブルなものに変わることにより、循環型社会の実現に寄与し地球環境に対してポジティブなインパクトを生みだす世界を追求していく」と述べていた。
同社は今後、こういった体験をより多くの人に届けるために、さまざまなパートナーと取り組みを進めていく考えだ。